連作『電話』

−親友−

 

 

「……あ、もしもし? わたくし七瀬留美と申します、広瀬真希さんいらっしゃいますでしょうか」

「はい、お願いします」

「……」

「……あ、もしもし? 真希? うん、私、留美」

「は? バカ、違うわよ」

「だから違うって言ってるでしょうが、あの講義はちゃんと取ってるわよ、ノート」

「そうよ」

「あんたにノート借りるほど落ちぶれちゃいませんよーだ」

「あはははっ、そうね」

「え?」

「えー、ホントに?」

「うわっちゃー、それはちょっちまずいかも」

「うん、そうだよねー」

「ん? ああ、そうそう、あんたが変なこと言うから忘れてたわ」

「あはははっ、ごめん、ごめんって」

「はいはいわかったわよ。でさ、本題なんだけど」

「真希、これから飲みに行かない?」

「うん、マジマジ」

「……ちょっちね、飲みたい気分なのよ、いま」

「……」

「ねぇいいでしょ、ねっ、ねっ?」

「えー、何よそれー、付き合い悪いわねぇ」

「ホントよぉ、こないだだって付き合ってくれなかったじゃないの」

「そうよ」

「は?」

「ちょ、ちょっと、なんでそこで浩平の名前が……はっ!」

「ぐぐぐ…… う、うっさいわね、たまたまよ、たまたま!」

「そ、そうよ、こう……折原のことなんて別に私は……!」

「ししししししつこいわよ真希!」

「だ、だから何度も言うようだけど……って、え?」

「……」

「……」

「…………いの……」

「……心配…かけたくないの……」

「……うん」

「あ、あははは、な、なーに言ってんだろね、私」

「あははは、いいっていいって」

「いいよいいよ、ごめんね、変なこと言って」

「うん、もう今日は寝るよ」

「ごめんね、じゃあ」

 

「……」

 

 

 

<戻る>