連作『電話』

−母−

 

 

「はいもしもし七瀬です…… って、なんだ、母さんか」

「ああ、そうね、はいはい」

「うん…平気、食べてるよちゃんと。心配いらない」

「うちじゃ私が一番丈夫なんだから」

「それよりそっちはどう? あの子ちゃんと学校行ってる?」

「うん…… え?」

「そっか…… 出席日数…… うん……」

「あの子は? 今は病院? え? いるの?」

「うん。 あっ、ちょ、ちょっと待って」

「……」

「……」

「もしもし、姉ちゃんだぞ」

「だめだろ、ちゃんと早寝しなきゃ」

「あははは、そっか」

「うん」

「……うん、聞いた」

「うん」

「大丈夫だって、学校1年くらい遅れたからって、何よ」

「それよりも、身体を治す方が大事だよ?」

「うん」

「ちゃんとお医者さんの言うこと聞いてな」

「またこっそり薬捨てたらダメだぞ?」

「うん」

「そっか、じゃあ姉ちゃん安心だ」

「うん」

「……うん」

「……え? う、ううん、何でもない」

「あはは、何でもない何でもない」

「うん」

「……」

「……あのさ」

「姉ちゃん、あんまり帰れなくて…… ごめんな」

「……うん」

「身体には、気をつけてね」

「うん、姉ちゃんも気をつける」

「うん」

「じゃあ…… 切るよ」

「うん、おやすみ」

 

「……おやすみ」

 

 

 

<戻る>