名雪 DE ストライキ

2004/12/23 久慈光樹


 

 


「今夜から祐一との性生活にストライキ発動だよ!」

「な、なんだってーっ!」

 

 突然の名雪の宣言に、祐一は動揺を隠せない。

 無理もない、男子高校生といえば性欲が服を着て歩いています、といっても過言ではないお年頃である。恋人であるところの名雪にえっちを拒否されたら、若さ故にアバレンボウな我を忘れた部位が轟々と出してはいけないものを吐き出してしまいかねない。

 具体的には秋子さんの目を盗んで風呂場でぱんつを洗濯。居候だから余計にいたたまれない。

 

「キサマそれはどういう了見だ! 俺の何が気に入らないんだ!」

 

 ナニが気に入らないんだよ、などというオヤジ的なシモネタは言わない。だってヒロインだから。

 

「よくもいけしゃあしゃあとそんなことが言えたもんだよ! 自分の胸に手を当てて思い返してみるといいよ!」

 

 激昂する名雪。

 

 俺の何が名雪をここまで追い詰めてしまったのか。考えてみる。

 

 

 ……ネギしか思い浮かばなかった。

 

 

「あれは凄かった……」

「凄かった……じゃないよ! あれから数日間お通じのたびにヒリヒリしてたわたしの立場になってみなよ! このヘンタイ!」

「名雪は便秘気味だから大丈夫だろう」

「そう、お通じが遠いとお腹が痛くなってて大変で――ってなんでやねん!」

「お前なんかだんだん関西人ちっくになっていくな」

「知らないよそんなこと! 誰のせいだよ!」

「やすし?」

「死んでるだろもうっ!」

 

 ぜいぜいと肩で息をする名雪。『なんだか最近ツッコミ役が板についてきたわね』などと親友から言われてショックで寝込んだこともある。

 

「とりあえず、そういうことでストライキだよ!」

「なにが『ストライキだよ!』だ。あれだけ乱れといて説得力皆無だぞ」

「う、うるさいな! 祐一なんて一人で寂しくお風呂場でぱんつ洗ってればいいんだよ!」

「てめぇ……言ってはならんことを! ぬっころす!」

 

 よほどのトラウマでもあるのか、即座に激昂する祐一。

 

「てめぇ名雪! そこになおれぇ!」

 

 叫びつつ、ベッドに腰掛けた名雪の両脚を抱え上げる!

 

「うにゃっ!」

 

 そのまま両足首を掴んで高々と上げ、返す刀でにゃんこパジャマを脱がせる!

 

「甘いよ、祐一!」

「な、なにぃっ!」

 

 ああ、なんということだろう、パジャマの下から出てきたのはいつもの白いぱんつではなく、黒光りする貞操帯ではないか!

 

「そうそういつもいつも祐一の思い通りになるとは大間違いだよっ!」

「……名雪、お前アホだろ?」

「う、うるさいな! こうでもしないとストライキにならないでしょ!」

「つーかこんなもんどっから入手したんだよ」

「ふふん、お母さんに相談したらくれたんだよ」

 

 秋子さんに言うなよそんなこと…… 心で泣く祐一。通りでここのところ秋子の視線が冷たいわけだ。

 

「ふふん、とにかくこういうわけだから、今日はえっちできないよ? 残念だったね祐一」

 

 名雪はどこまでも得意げだ。

 

「……ときに名雪?」

「なあに?」

「お前今日、夕食の時にがぶがぶと牛乳飲んでたよな」

「うん、わたし牛乳好きだもん」

「だからそんなに乳がでかくなるんだ」

「う、うるさいな、祐一が揉むからだよ! 肩こって大変なんだからね!」

「いやまぁいい、論点はそこじゃない」

「?」

「そろそろ、トイレに行きたくなってくる頃じゃないのか?」

「……そういえば……」

 

 途端にもじもじとし出す名雪。祐一の言葉どおりトイレに行きたくなってきたらしい。だが黒光りする貞操帯がそれを許さない。

 

「名雪のことだ、それの鍵はこの机の引き出しに入っているんじゃないのか?」

「えっと、正解だよ祐一。だからそこどいてくれないかな?」

 

 巧妙な位置取りで、祐一は名雪の机を背にして動かない。やがて名雪のもじもじはソワソワに変わり、やがて地団太に変わる。

 

「ゆゆゆゆ祐一! ヤバイ! ヤバイよ! そこどいて!」

「ふふふふ」

「どけつってんだろ! このED!」

「がーん」

 

 がっくりと抜け殻のようにうなだれる祐一を尻目に、名雪はものすごい勢いで引き出しから鍵を取り出すと貞操帯を解除する。そして脱兎のごとく部屋を飛び出していった。無論、下半身はすっぽんぽんであるわけだが、それどころではないらしい。

 

 

 

「ふう、危なかったよ」

 

 世の中って素晴らしい、とばかりに晴れ晴れとした表情で部屋に戻ってくる名雪。下半身はいぜんとしてすっぽんぽんだ。

 

「名雪好きだー!」(がばぁ!)

「展開速っ!」

 

 ぱんつを穿いていない名雪の下の茂み(割と毛深い)に即座に反応し、襲い掛かる祐一。良く言って野獣。

 

「ちょ、ちょっと待って! 今はストライキ中だからダメだよ!」

「もう辛抱たまらん!」

「まったく辛抱してないよっ!」

「なゆきー」

「そ、そんな甘えた声出したってダメなんだからっ」

「愛してるぞ名雪っ!」

「う、うそくさいよっ」

 

 台詞だけを聞いているとラブコメのようだが、実際には首相撲に持ち込まれた祐一が下腹部に膝を叩き込まれている。最近の名雪は非常にバイオレンスなのである。

 

「もうダイスキだなゆき……ぐぼっ!」

 

 苦しがりながらもどこか恍惚の表情を浮かべる祐一である。どうやらイケナイ悦びに目覚めてしまわれたご様子。

 

「キモチ悪いよっ!」

 

 抱え込んでいた頭を右脇に挟み、左上腕部を掴んでそのまま後ろに倒れ込む!

 

 

ズドン!

 

 

「がふっ!」

 

 

 惚れ惚れするほどのDDTだった。

 

 一発で落ちる祐一。

 

 

 

 というか落としてどうする。

 

 

 

 

「お前がストライキ中であることはわかった」

 

 頭に包帯を巻いた祐一が、重々しく宣言する。わかればいいんだよわかれば、と名雪さんはご立腹。ダンコとして性交渉を拒否する姿勢を崩さない。

 

「だが俺とて健全な男子。このままストライキを継続されてはいろいろ損失が大きい。よかろう、要求を聞こう」

 

 遂に祐一を交渉のテーブルに着かせることに成功する。重々しく要求を告げる名雪。

 

 

 

一. オシリの穴に指を入れない

二. オシリの穴に舐めない

三. ネギ断固禁止

 

 

 

「ああ、無理」

「早っ!」

 

 あっさりと決裂する交渉。三秒しか経ってない。

 

「もうちょっと考えてよ!」

「いや、だって、なあ? 無理だろ」

「当たり前のように言わないでよ! それとわたしに同意を求めないで!」

 

 名雪は既に半泣きだ。

 

「だいたいおかしいでしょ普通に考えて!」

「そうかなあ?」

「そうだよ! 普通じゃないよ!」

 

 必死に交渉するも、妥協点を見出すことができない。というか祐一は基本ラインが変態だ。

 

「とにかく! 要求が受け入れられないなら今夜もスト決行だよっ!」

「ああ待て待て、こちらとしてもそれは困る。そこで俺から提案があるんだが」

「む、聞くだけ聞くよ」

 

 その返事に、ニヤリと祐一。また何かしらよからぬことを企んでいるのだろう。

 

「ぱぱぱららららららーーっ!」

「うわっ! いきなり大声出さないで」

「第一回、どちらが先にイかせられるか選手権大会地区予選!」

「……」

「説明しよう! ルールは簡単、お互いが同時に愛撫し合い、先にイった方が負け!」

「……」

「道具は使用不可! 頼れるものはおのれの肉体のみ! 見せてやるぜ俺のごーるでんふぃんがー!」

「……」

「……」

「……」

「頭が可哀想な子を見るような目でこっち見んな」

「祐一さぁ」

「なんだよ」

「病院行ってきなよ。窓に鉄格子のあるとこ」

 

 やれやれまったくだぜこのイエローピーポーが、とばかりに露骨な蔑みの視線。最近の名雪は祐一に冷たい。

 

「ああ、まぁいいからぱんつ脱げよ」

「ああもう! どうして祐一はすぐにぱんつ脱がそうとするの! ストライキ中だって言って……うわちょっとやめてよはうっ!」

 

 打撃と投げ技では名雪に連敗中であるが、ことぱんつを脱がす技術において祐一は他の追従を許さない。

 

「ほれほれ、このままだと俺の一人勝ちだぞ?」

「あんっ! ああもうしょうがないなぁ! その勝負、受けて立つよっ!」

 

 くるりと身体を半回転させて、祐一に跨る。俗にいう『しっくすないん』の体勢だ。

 

「この日のためにバナナを咥えて鍛えてきたわたしの舌技を食らうといいよはうっ!」

「れろれろれろ」

「や、ちょ、祐一やめ……ふあっ!」

 

 メチャメチャ弱かった。

 

「あっ! ダメ! それ強すぎ、ああああっ!」

 

 名雪は二分でイった。

 

 

 

 

 

「というわけで、交渉は俺の完全勝利に終わった」

「しくしくしく」

「これでスト回避、はれて性交渉再開というわけだ」

「ううっ、わかったよ」

「ふっふっふ、じゃあさっそく……」

「ちょ、ちょっと待った!」

「む、なんだ名雪、往生際が悪いぞ」

「あのさ祐一、ひとつ聞きたいんだけど」

「なんだ、手短にな」

「その手に持っているものは何かな?」

 名雪の視線の先、祐一の右手にしっかりと握られた物体。

 直径五センチくらいの握りの部分にはスイッチと思わしき突起。先端の部分は直径一.五センチほどの真珠のような玉が連なっている。

 

 図解するとこんな感じだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

  ○○○○○○■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

「またそれかよっ!」

 

 名雪、絶叫。

 

「この間はまだ慣れてなかったからな、徐々に慣らしていかないと」

「慣れる必要ないよっ!」

 

 半泣きでそう訴える言葉に耳を貸さず、ベッドに仰向けになった名雪の両脚を、足首を持って抱えあげる。

 あー、とか、うー、とか言って名雪は抵抗しようとするが、先ほど達したばかりでうまく身体に力が入らないのだろう、結局はされるがままだった。

 

「は、恥ずかしいよ祐一……」

 

 頭の上まで足を上げられ、秘部ばかりでなく後ろの穴まですべて曝け出された状態。祐一には何度も見られているとはいえ、さすがに名雪は真っ赤だ。

 

「ほら名雪、自分で脚を抱えてくれ」

「うう、わかったよぉ……」

 

 こうなったら祐一は抗議など聞いてはくれない。そのことがわかっているから、素直に従った。

 縮れた毛に覆われた秘裂は先ほど達した余韻にひくつき、ピンク色のヒダが覗いている。

 

「あっ!」

 

 くちゅり。そんな音を立てて、祐一の指で押し広げられる秘裂。とろりとひと筋、液体が肛門に伝った。

 

「このあいだはいきなりだったからダメだったんだ、こうしてほぐしておけば……」

 

 そんなことを呟きながら、祐一は伝った液体を皺に塗り込むように菊座を揉みほぐす。

 

「ひあっ! や、やめっ……ふああ!」

 

 なんだかんだ言って、後ろの穴でも普通に感じるようになったよなー、などと思いつつ、祐一はくりくりと人差し指で皺をこねくりまわす。膣からはとめどなく愛液が垂れてきて、潤滑油には事欠かない。

 

「ふっ、あっ、ゆ、指入れたらダメ……」

 

 酸欠になった金魚のように口をパクパクさせて、肛門から腹部にかけて感じる例えようのない圧迫感に身悶える。

 第一関節まで挿入して、いったん抜く。

 

「ふっ! あああっ!」

 

 指のようにとっかかりのない物を抜くときは、一気に抜くのがコツだということを、祐一はその反応で知った。

 第二関節まではさすがに入らない。名雪が痛がらないように優しく、しかし可能な限り早く。抜き差しを繰り返す。

 

「あっ、はっ、やっ」

 

 部屋には名雪の嬌声と、ぬぷ、ぬぷ、という卑猥な音。

 

「はあ、はあ、はあ……」

「そろそろ、いいか」

 

 指を抜き、傍らに置いたアナルバイブを手に取る。

 とろんとした目で見るとはなしにそれを眺めていた名雪の目が、くわっ! と見開かれる。

 

「なっ、祐一それ……!」

「はいはい力抜いてー」

「や、やめ……ふううっ!」

 

 ずぶり、と、まずは一つ目の珠。

 

「あ、あああ……」

 

 続いて二つ目の珠。ずぶり。

 

「やっ、は、はう……」

 

 震える薄皺が、珠が飲み込まれるたびに広がり、伸びる。直径が最大になる部分までは少し力を入れないと入らないが、それを過ぎれば自然にぬるりと肛門に飲み込まれていく。

 三つ、四つ。ずぷり、ぬるり。ずぷり、ぬるり。

 

「あっ、やっ……おなかが、おなかがいっぱい……」

 

 口元からだらしなく涎を垂らし、ぎゅっと瞑った目の端は薄く涙が浮かんでいる。

 

「このあいだは四個だったから、もう一個頑張れ」

「ん……」

 

 ずぷり、ぬるり。

 

「あ、あう、も、もう無理……」

 

 赤く上気した顔は苦しそうだったが、その中にも確かに快楽の色が見え隠れしている。祐一は「いいか、スイッチ入れるぞ」と一声かけてから、名雪が震えながら頷くのを確認して手元のスイッチを入れた。

 ブブブブブ……

 

「あっ! あっ! あっ!」

 

 直腸に直接響く震動に、涎でべとべとになった口を大きく開いて悶える名雪。刺激の強さもさることながら、まるで身体中の内臓がまるごとひっくり返ってしまうような快楽。

 明らかに名雪は感じていた。

 

「名雪すまん、我慢できない」

 

 唸るようにそう言うと、祐一はぱんぱんに張ったトランクスを下ろして、両脚を抱え込んで身悶える名雪にのしかかる。

 

「ゆ、祐一……? う、うあああっ!」

 

 愛液をとめどなく吐き出し続ける前の穴に、猛り立つペニスをつきたてた。

 

「ううっ、名雪」

「あっ! ああっ! そ、、そんな、そんなぁ!」

 

 ぐちゅぐちゅと、まるで泥の中に硬い棒を突き込むような音を立て、祐一のペニスが名雪の秘所を突き抉る。ブブブブという機械的な震動が、膣壁を通じて祐一に伝わってきた。

 

「お、犯されてる、わたし、お尻とあそこを同時に、同時に犯されてる―― !」

「くっ、ああ、ああ! 同時に犯してる、名雪の膣と肛門を、同時に!」

 

 獣のように腰を振る祐一に、いつしか同じように腰を振って応える名雪。

 

「わ、わたし、わたし、頭が変になる! こんなの、おかしくなるっ!」

 

 ぐちゃぐちゃ、ぐちゃぐちゃ、ぐちゃぐちゃ。

 ブブブブブブブブ。

 

 形容しがたいほどに卑猥な水音と、機械的に一定の震動音。長い髪を振り乱し、涎を垂らしながら絶叫する名雪。

 

「名雪、名雪!」

 

 狂ったように腰を振る祐一が、ぐいと乱暴に、硬く勃起したクリトリスを摘んだ。

 

「あっ! あっ! ひああああああああっ!」

 

 ひときわ甲高い絶叫。反り返る背。

 それと同時に食いちぎるような強烈な締め付け。

 

「ぐっ!」

 

 びくんと祐一の身体が震え、熱い粘液が名雪の一番深いところに注ぎ込まれた。

 

「あ、あ、ああ……」

 

 押し寄せる快楽に、名雪の意識はそこで途絶えた。

 

 

 

 

 

 

「まったく! めちゃくちゃだよっ!」

「いやー、我慢できなくなっちゃって、あははは」

「なに笑ってんだよっ! わたし壊れちゃうかとおもったんだからね!」

 

 事後のピロートークと呼ぶには激しすぎるいつもの罵り文句。

 

「また明日からストライキだよっ!」

 

 だが二人は布団の中でしっかりと抱き合い。

 

「祐一! 聞いてるの!?」

 

 名雪の顔も、だけど笑顔で。

 

「祐一のバカ! 変態! 変質者!」

「誰が変質者だコラァ!」

 

 

 どこまでも、そんな二人だった。

 

 

 

 

おしまい