異能者 第二部

<第十一章>

−少女の檻−

2004/4/15 久慈光樹


 

 

 

 

「くっ……」

 

 焦りの色も露に名雪が唇を噛む。

 苦々しげに、目の前に立つ敵、『狂戦士』七瀬留美を睨み付ける。

 

 劣勢であった。

 『狂戦士』の強さは尋常ではなく、Kanonの誇る4人の異能者を相手に回して一歩も引かず、それどころか圧倒しているように見える。

 だがその実、名雪たち4人と留美にはそこまで圧倒的な戦力差はないのだ。いやむしろ純粋に戦力差としてみた場合、個々の能力では劣っているとはいえ4対1のこの状況、名雪たちは圧倒的有利と言ってよかった。

 

 なぜここまで一方的な展開になっているのかというと、名雪の戦術ミスが原因だった。

 個々の能力において劣るのであれば、4対1という戦力差を最大限に生かした消耗戦に持ち込めばよいのだ。そうすればいかな『狂戦士』とはいえ敗北か撤退以外に道はない。

 だがリーダーである名雪のとった戦術は短期決戦。明らかに勝負を焦っていた。そのため個々のポテンシャルの差がそのまま戦力差となり、現状として圧倒されている。

 

 明らかな戦術ミス。だが名雪には勝負を焦らねばならない理由があった。

 

『祐一、お母さん、無事でいて』

 

 ONEの異能者狩り部隊が出撃してからすでに丸一日以上が経過している。恐らくは既に戦闘が開始されているだろう。そして未来予測という切り札を持つONEに対し、Kanonは幹部たちの半数を欠く状態で迎撃せねばならない。名雪たちがラプラスの魔機構を破壊するのが遅れれば遅れるだけ、迎撃部隊が生き残る可能性は低くなる。

 戦術が間違っていることなどわかっていた、だが名雪には選択肢など最初から与えられてはいなかったのだ。

 

「お姉ちゃん! このままじゃ……!」

 

 彼女なりに戦況の不利を肌で感じているのだろう、真琴が信頼する姉に向けて叫ぶ。

 数回のKanon側からの攻撃はすべていなされ、逆に痛撃を食らっている。このまま戦闘が推移すれば消耗死するのはむしろKanon側だった。

 

「真琴! いったん引いて!」

 

 名雪の指示に従い、真琴が聖獣を下がらせる。

 『狂戦士』からの追撃はない、それを見て名雪は舌打ちをしそうになった。

 優勢を笠に向こうから攻め入ってくれるのならまだやりようがある、一気に包囲して勝負をかけることもできよう。

 だが『狂戦士』は動かない。恐らく彼女も解っているのだろう、この戦闘は時間との戦いであり、自らの役割は戦いを引き延ばすことであるのだと。

 

 七瀬留美は戦いを嗜む『狂戦士』だなどと、果たして誰が言ったのか。

 広い視点から戦況を把握し、戦術的な勝利に拘ることなく戦略を常に視野に入れている、その戦略眼はとても一介の戦士のそれではない。そして一個の異能者としても彼女は超一流だ、いまのところ度重なるKanon側の攻撃はうまく分断され、すべて各個撃破されている。

 『狂戦士』七瀬留美。時間というハンデを背負って戦わねばならない名雪たちにとって、最悪の相手だった。

 

 

『どうすれば……』

 

 実のところ、策なら一つだけある。

 

 戦闘要員4人のうち誰か一人が敵をひきつけ、その間に他のメンバーがこの場を突破して先に進むのだ。この場を生き残るには、それしか策はない。

 しかし、もとより一対一では実力の劣る相手、一人だけをこの場に残して離脱するということは、文字通り捨て駒にするということ。

 

 名雪は『狂戦士』から意識を外さぬようにしながら、メンバーを見渡す。

 名雪自身は論外だ。リーダーである彼女が抜けては以後の行動に支障が出る。それに彼女の能力では仲間が離脱するまでの時間を稼ぐことすらできないだろう。

 

『本当は、わたしが残れればそれが一番なんだけどね……』

 

 まず目を留めたのは壁際、緊張した面持ちで戦いの邪魔にならぬように戦況を見守っている北川。

 彼は戦闘要員ではないから除外だ、それに彼にはこの建物の道案内をしてもらわねばならない。

 

 続けて視線をとめたのは肩で息をする栞。

 『美坂家』直系の彼女であるが、その異能力は生命力を直撃する一撃必殺の技であり、結果がどう転ぶにせよ初撃で勝負が決まってしまうだろう。それでは仲間が離脱する余裕がない。

 

 腕から滴る血を拭う佐祐理。

 彼女の能力は第三者がいて初めて発揮される類のものだ。他に攻撃手段のない彼女では、一対一で『狂戦士』を止められるはずもない。

 

 そして最後に、名雪の視線は悔しそうに相手を睨みつける真琴へと行きつく。

 

 そう、彼女であれば『狂戦士』を止められる。

 

 聖獣ぴろによる直接攻撃は十分に有効であるし、敵の苛烈な攻撃にも彼女とぴろならば耐えられる。初撃さえ食い止めれば、全員が離脱する隙を作ることができるだろう。

 そればかりでなく、しばらくの間は『狂戦士』をこの場に足止めすることもできるに違いない。

 彼女以外の適任者はいない。

 だが現在の真琴では、『狂戦士』には敵わない。七瀬留美とはそれほどの力を持った異能者なのだ、彼女に一対一で勝てる可能性があるのは彼女のライバルたる『剣聖』川澄舞くらいのものだろう。祐一でさえ勝てるかどうか。

 だからこの場に一人留まれということは、真琴に死ねと言うのと同じだった。

 彼女は信頼する姉の言葉に従い、死ぬまで敵と戦いつづけるだろう。そして救われないことに、そのことを自覚した上でなお、姉である名雪がこの場に留まるように言えば真琴は喜んでそれに従うに違いない。

 

 リーダーとして、迷うべき理由はないはずだ。

 たとえこの場で真琴を見殺しにしようと、それによって作戦が遂行されるのであれば何を迷うことがあろうか。個を殺し群を生かすというのはそういうことで、指揮者である以上、時には非情の決断を下さねばならぬ場合があることは解っているはずだ。いま決断を下さなければ自分たちの作戦は失敗し、迎撃部隊は全滅するだろう、そうなれば何百という命が失われるのだ。何百の命を救うために一つの命を犠牲にすることはやむをえない。

 さあ、言うのだ。今すぐにでも真琴に告げるのだ。

「この場は任せる」と――

 

 

 

 

「そんなこと、できるわけないじゃない!」

 

 

 

 

 突然叫んだ名雪に、視線の向こうの真琴がびっくりしたような表情でこちらに振り向く。

 どうしたのお姉ちゃん? そんな顔で、もともと大きな目をめいっぱい見開いて。

 そんな真琴に微笑む。ダメだよ真琴、ほら集中して。もう、お姉ちゃんいきなり変な声出さないでよね! あはは、ごめんね。

 

 

 そうだ、そんなことはできない。できるわけがない。

 

 

 真琴は自分の大切な妹だ、大切な家族なんだ。見捨てることなんかできるわけがない。そんなこと、したくない。

 

「わたし、向いてないよね」

 

 今度は誰にも聞こえないように、ぽつりと呟いた。

 そう、自分は向いていない。リーダー、指導者という立場に向いてなんていないのだ。わたしは、お母さんのようにはなれない。

 

 ――ずっと思ってた。お母さんのようになりたいって。

 

 強く、優しく、皆から慕われ尊敬される、そんなお母さんのように、わたしはずっとなりたいって思っていた。だから戦略を学んだ。少しでも近づきたかった。

 お母さんは、わたしの憧れだったから。

 

 でも違う。これは違うと思う。

 

 リーダー、指導者という立場であれば、恐らくわたしの選択は失格だ。自分のエゴを優先し、結局はすべてを失ってしまう愚行なのだろう。

 だけど、お母さんでもきっとこうしたはずだ。わたしの希望的観測かもしれないけれど、お母さんもきっと同じ選択をすると思う。

 

 

 わたしはエゴイストで、偽善者だ。

 

 だから。

 

 わたしにとって、数百人の命よりも、大好きな妹の方が大切なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 ぬるり、と。

 肩口からしたった血が二の腕を濡らした。

 

 キモチが悪い。吐き気がする。

 くらりと立ち眩みがした。出血が多すぎるのだろうか、痛みなんてぜんぜん感じないというのに。

 押さえた左手を伝う朱の液体に、佐祐理は顔を顰める。

 

 『狂戦士』に対して、策もなく繰り返される突撃。

 戦術ミスは明らかだ、このまま何十回無策な攻撃を繰り返したとしても七瀬留美は倒せないだろう。

 だが名雪を批難しようとは思わない、短期決戦を焦る彼女の思惑は当然のことで、むしろ悠長に構えられては困るのだ。

 こうしている間にも、迎撃部隊は危機に瀕しているかもしれない。

 親友である舞の身にもしものことがあっては、“佐祐理”は恐らく精神的に破滅するだろう。それだけは避けねばならない。

 

 

 ――どこか

 ――他人事のような感じがする。

 

 

 すべてが他人事のように感じられる。

 血を流している自分も、親友の身を案じている自分も。

 そして、目の前で妹を見つめている彼女を、じっと眺める自分も。

 

 よくない兆候だった。長いこと慣れ親しんだ違和感、そして最近はまったく感じていなかった違和感。

 

「ああ、私はまた……」

 

 見下ろしている、“佐祐理”を。

 “佐祐理”は、羨ましそうに水瀬名雪を見ていた。

 

 名雪の心は、手に取るように解った。

 北川、栞、佐祐理と順番に巡らされた視線、沢渡真琴のところでぴたりと止まった彼女のその瞳の色を、佐祐理は見たことがあったから。

 

 そう、私と同じなのねあなたも。

 

 “私”も名雪を見つめる。彼女はいま、過去の自分と同じように「よき姉」になろうとしている。

 弟のためを想っていると信じて疑わず、その実、彼を死地へと追いやっていた「よき姉」に。

 

 決して非難しているわけではない、いやそれどころか親しみさえ感じている。

 彼女はきっと後悔するだろう、後悔して、自分を責めて、責め抜いて。

 

 そしてきっと私のようになる。

 

 

 ああ、なんて愚かな彼女。なんて愚かな――過去の私。

 

 戦場の恐ろしさも悲惨さも知らず、ただ一人安全な場所から、もっとも愛していたはずの弟を死地に追いやっていた。

 一弥は笑わなかった、私は最後まで弟の笑った顔を見たことがなかった。

 一弥を殺したのは私だ。

 私が一弥を、殺し――

 

「そんなこと、できるわけないじゃない!」

 

 

 

 

 あたまのなかがまっしろになった。

 

 ゆっくりとふせていたかおをあげ、かのじょのかおをみた。

 

 

 

 

「あ……」

 

 彼女は、名雪さんは、微笑んでいた。そして、真琴さんも笑っていた。

 とてもとても、幸せそうに……

 

 

 

 

 

 

 

『ほらかずや、みずでっぽうであそぼ』

『おねえちゃんね、こう見えてもうんどうしんけい、いいんだよ?』

『あとでおかしも食べようね』

『たのしいね、かずや』

 

 

 

 

 

 

 

 そうだ。

 私はただ――

 

 

 

 

 

 

 ただ、一弥といっしょに遊んであげればよかっただけなんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 さむい。

 さむいね、かずや。

 かずやのこころは、こんなにもさむかっただね。

 

 

 わたしがうけとめてあげる。

 かずやのこころを、うけとめてあげる――

 

 

 

 

 

 そして二人は、ひとつになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは……」

 

 ぞくり、と。

 留美の背中を寒気が這い上がる。

 感じたのは殺気や剣気の類ではなく、純粋な冷気。

 部屋の気温が少しずつ下がっていく、壁際の一点から放たれる冷気が渦を巻き、留美の剥き出しの手足を粟立たせる。

 冷気の中心に佇む者の姿を見止め、『狂戦士』はどこか嬉しそうに声をあげた。

 

「そう、それがあなたの本当の“力”というわけね」

 

「『自己無き』……いえ――」

 

 

 

 

「『凍てつきし』倉田佐祐理」

 

 

 

 

 丹田に篭めた呼吸をゆっくりと循環させていく。無造作に降ろしていた刀を両手で握りなおし、もっとも得意な型である正眼に構える。

 倉田佐祐理は倉田一弥の血縁者――恐らくは姉か――なのだろう。親から子へと異能力が遺伝するのはそう珍しいことではない。彼女は弟と同等の能力を受け継いでいたのだ。

 『凍てつきし』倉田一弥のことは聞いたことがあった。直接手合わせしたことはないが、幼いながらも一流の異能者としてその名は広く知られていた。Kanonと敵対して死んだと聞き、ひどく落胆したのを覚えている。

 一度手合わせしてみたかった。だがその機会は永遠に失われたのだと思っていた。

 しかしいま、自分は彼と同等以上の力に目覚めた敵と戦う機会を得た。

 

「さあ倉田さん、私を楽しませて」

 

 

 留美の目には、もう佐祐理しか映っていない。

 

 

 

 

 

「さ、佐祐理さん……?」

 

 名雪の声が震えたのは、果たして寒さのためか。

 突然何かが爆発したかのように高まった佐祐理の異能力、それはすぐに形を変え、青白く輝く冷気へと変わった。その異能力はこの場にいるKanon側の誰よりも、そう、真琴よりも勝っているに違いない。

 

「名雪さん」

 

 ゆっくりと、佐祐理が振り向く。

 ただそれだけで、叩きつけてくるような冷気。

 だがしかし、佐祐理の表情は不思議なほど穏やかだった。力の覚醒に伴う高揚感や好戦性は感じられない。

 

 それはまるで。

 ずっと離れ離れになっていた愛しき者との再会を果たしたかのような――

「ありがとう、名雪さん」

「え?」

 

 吹きすさぶ冷気の渦にかき消され、佐祐理の呟きは聞き取れない。だが例え聞き取れたとしても、名雪にはその言葉の意図が解らなかったに違いない。

 

 そんな名雪に微笑みをひとつ。そうして佐祐理は表情を引き締めて『狂戦士』と向き合う。

 背中越しに告げた。

 

「ここは私が引き受けます、あなたたちは先に進んでください」

 

「そ、そんなっ! 無茶です!」

 

 叫んだのは栞。

 無理もない、いかに佐祐理が尋常ではない異能力を発しているとはいえ、相手はあのONEの『狂戦士』なのだ、一人で相手をするなど自殺行為といっていい。

 しかも『自己無き』という異名が表すとおり、倉田佐祐理は自己犠牲の人だ。この場で人柱になるつもりであるのに違いなかった。

 

「ふふっ、勘違いしないでください、栞さん」

 

 肩越しに、少しだけ振り返る佐祐理。

 

「ここでこの人を倒して、私もすぐに追いかけます」

 

 口元に不敵な笑みさえ浮かべてそう言い切る佐祐理に、ぴくりと留美の肩が揺れる。表情に変化はないが、剣気がより一層増した。

 

「さあ行ってください」

「で、でも……」

 

 栞はどうしていいかわからないというように、傍らの名雪を見る。彼女であれば佐祐理を止めてくれると思ったのだろう。

 

「……わかりました、この場はお任せします」

「な、名雪さん!」

 

 佐祐理が自己犠牲からこの場に残るというのなら、名雪は許さなかっただろう。

 だが彼女はすぐに後を追うと言った、『狂戦士』を倒すのだと、死ぬ気は無いのだと、そう明言したのだ。

 それならばリーダーとして名雪がすべきことは、佐祐理を信頼してこの場を任せることだ。

 

「ただ、この先に何があるかわかりません、佐祐理さんは『狂戦士』を倒したらそのまま戦線を離脱してください」

「わかりました、名雪さんたちもお気をつけて」

 

 佐祐理の声に頷き、名雪は他のメンバーを伴って反対側の扉まで走る。

 『狂戦士』は動かない。佐祐理しか目に入っていないのか、それとも自分の役目はもう終わったと割り切っているのか。

 事実、この部屋だけでかなりの時間をロスしてしまっている、足止めが目的なのであれば、留美は十分に役目を果たしたといえる。

 

 

「佐祐理さん!」

 

 3人を部屋から脱出させ、最後に残った名雪が佐祐理に声をかける。

 佐祐理が振り返ることはなかったが、それに構わず彼女は最後にこう言って部屋を出て行った。

 

 

 

「必ず……生きて」

 

 

 

 その言葉に驚いて振り向いたときには、名雪の姿は扉の向こうに消えていた。

 

「……やっぱり侮れないね、あの人」

 

 微笑む。まるで見透かされていた。

 死を賭して『狂戦士』をこの場に足止めしようというこの決意に、彼女は気付いていたのだ。

 悟られれば必ず止められると思った、だからこそ自信のあるふりをしたのだ。ああ言えば必ず任せてもらえると確信していた。

 水瀬名雪という女性を、自分はまだ見損なっていたのかもしれない。

 彼女が見かけによらずしたたかであることは、他組織統合の手際を見ればわかる、だがそれでも、性格を逆手にとってうまく謀ったつもりが逆に掌の上で踊らされるとは。

 

「生きて、か」

 

 まったく、簡単に言ってくれる。相手はあの恐怖の代名詞『狂戦士』、生き残ることはむしろ勝利するよりも至難。

 

 だけれど。

 

「やるしかない、か」

 

 彼女は、私の嘘に気付いていながら任せてくれた。

 決して捨て駒にされたわけではないだろう、もしそうならば去り際にあんなにも苦しそうな声を出すがない。

 彼女は彼女のポリシーを覆してまでも私を信頼してくれたのだ。

 

「そろそろ、始めましょうか」

 

 いったんは下げていた刀をゆっくりと掲げる『狂戦士』。ゆらりとその身体から立ちこめるのは異能力のゆらめき、そして既にして殺気の域にすら達している剣気。

 強敵だ、今の私でも勝負になるかどうか。

 だが負けるわけにはいかなくなった。必ず生き残らなくてはならない理由ができた。

 

 必ず生きて、今度は面と向かって彼女に言おう。

「ありがとう」と。

 

 

 

「七瀬留美、参る!」

 

 裂帛の気合と共に、剣士は刀を振りかぶる。正眼からの大上段は流れるような挙動で、正規の剣術を学んだ者特有の無駄のなさをもって振り下ろされる。

 明らかに間合いの外から放たれるそれは、『狂戦士』七瀬留美の代名詞。

 

『剣の暴君』(ソードタイラント)

 

 

「一弥! 私に力を!」

 

 対する佐祐理もほぼ同時に異能力を発動させる。

 両掌に収束する冷気が局地的なダイヤモンドダスト現象を引き起こし、光り輝く極寒の渦が猛り狂う暴風を迎え撃つように放たれる。

 それはかつて、『凍てつきし』倉田一弥が用いていた異能力。かつての彼の心の在り様そのままに、すべてを凍りつかせるかのように。

 

『輝けし心の氷』(スプライトマインドブリザード)

 

 

 吐く息が白く煙る冷気の下、最凶の剣士と氷の女王との戦いの火蓋が、切って落とされた。

 

 

 

 

To Be Continued..