泉蓬寺悠さん

 

12月8日 日記より転載 74文字改行で36行

題材「ハピレス」


「……あの、いつも思うのですが、何してるんですか……?」
「む? 見て分からないの、きさらぎママ?」
「いえ……多分、分かると思います。ただ、なぜ筋トレをしているのかと……」
「うみゅ。考えてみてよ。きさらぎママはいつもパソコンの前で二次元の美少女を相手にしているような、不健康を人間にしましたって感じのひょろ男が息子でいいのか?」
「……だからと言って、別にマッチョがいいわけでは、ないです……」
別にマッチョになる気はない。
「そうですか……安心、しました……」
しかぁ〜し! だからと言って人間体を鍛えるのを止めてはダメだと俺は思った!」
「……さつき先生にでも、何か……言われたんですか……?」
「別にそんなことはないぞ。ただ男としての譲れない何かが俺を駆りたてるのだ!」
「……何かって、ナンなんですか?
「つまりな。もし俺に彼女ができて、いざ鎌倉!ってベッドの上で服を脱いだ時に中身が筋骨マンだったりした時を想像してみてよ」
「…………想像、できません……っていうかしたくありません……
「だろ? 俺もだ
「…………」
「もしこれで『あなたって服を脱ぐと貧弱なのね、ガッカリだわ』なんて言われたら、俺はきっと立ち直れん。だから鍛えるのだ」
「……捕らぬ狸の皮算用……」
「…………ほっといてくれ」
「……第一……私はそんなこと気にしません……
「え、なに?
「…………知りません……!
「な、なんだよ?」
「……それに……あなたに彼女ができるなんて100%ありえません
「……そんな力いっぱい否定しなくても……
「だって……」
「だってなにさ?」
「……そ、それは……こういうことです! チュッ♪
なっ…………!?
「わ、分かりましたか…………?」
「あ、あぅ……」


久慈光樹より一言

 あ、あぅ…… ぢゃねぇーぞちくしょう


 

10月21日 日記より転載 74文字改行で46行

題材「ハピレス」


「やよいママ―――じゃない、やよい先生いますか?」
「こら、学校でママって言っちゃダメでしょう」
「うん、ごめん」
「で、どうしたのかしら。保健室で寝かせてくれー、とか?」
「あはは、まさか。せっかくのお昼休みだし、やよい先生の所にお茶でもしに」
「あら嬉しい。ちょうど今朝、美味しい玉露が届いたのよ。水羊羹もあるから一緒に、ね♪」

  しばし歓談―――


「―――それで、体育祭の時なんか大変なのよ。まるっきりこっちの方が運動会なの」
「うわぁ……」
「いくらまだ高校生とは言え、どうして男の子があの程度のかすり傷で救護に来るのかしら。ツバつけとけば治るわよ」
「それは―――分かる気がするな」
「え、どうして?」
「うん、みんなやよい先生に会いに来たいんだと思うよ。だからたいした怪我じゃなくても来るんだよ」
「………なるほど」
「普段だって、実は結構仮病の生徒って多くない?」
「言われてみれば……ベッド貸してくれって男子生徒は毎日何人かはいるのよね」
「ね? そういう連中って、みんなやよいママに甘えたいんだよ」
「そうなの? キミって結構鋭いわね」
「そんなことないよ。僕だって―――ハッ(口を押さえる)」
「――――(ニヤ)私も、相手がキミだったら歓迎しちゃうけどなぁ」
「え、え、えぇ?」
「もしキミが仮病まで使ってママに会いに来てくれたら―――」
「…………来てくれたら……?」
「優しくベッドに寝かしつけてあげて―――」
「…………(ゴクッ)」
「ベッドで布団に包まるキミを――――」
「…………(真っ赤)」
簀巻きにして河に放り込んじゃおうかしら♪
「なっ、なんでやねん!? 死ぬ! それマヂ死ぬ!」
「ほほほ……だって可愛い息子が授業をサボって保健室にシケこもうなんて考える不良になるのを見過ごせないわよ★」
「くっ…………そりゃそうだ―――嬉しいけど、なんか悔しい」
「でもね―――」
「――――?」
「本当の病気の時は、ママが付きっきりで看病してあげるわ。チュッ♪
「なっ――――(真っ赤)」
「さ、そろそろ教室に戻りなさい」
「ちょっ―――やよいママ!?
「はいはい、また後でね♪」

 


久慈光樹より一言

 50行以内は今んとこ悠さんだけっす(泣)


 

10月16日 日記より転載 74文字改行で73行

題材「ハピレス」



「あ、見つけました」
「むつきママ……どうしたんだよ」
「やよいさんから、多分ここだろうって。隣―――座っても良いですか?」
「…………」
「決勝戦……残念でしたね」
「別に―――相手の方が強かっただけだよ」
「でも頑張りました。キミが頑張ったことは、むつきが一番よく知ってます」
「……それ、他のママの前で言ったら非難ゴーゴーだぞ……」
「別に良いです」
「……チッ、そんな風に微笑われたら、一人でふててるのがバカみたいに思えてくるぜ」
「ふふ……」
「…………」
「………」
「……ホントはさ、絶対勝てると思ってたんだ」
「…………」
「バカみたいにさ。努力すれば必ず報われるんだって」
「…………」
「でもさ、相手も俺以上に努力してるってこと、忘れてた」
「キミは頑張りました。それはむつきが保証します」
「でも結果は負けた。それは俺の努力が足りなかったってことだろ」
「それは……」
「俺、才能なんて言葉に負けたくないんだ」
「…………」
「努力して、今度こそ―――俺は勝つんだ」
「…………キミのそういうトコロ、好きですよ」
「なっ!? イキナリなに言い出すんだよ!?」
「フフ……照れちゃって。可愛いですね」
「ば、バカやろう……」
「ホントですよ。それに、むつきもキミが頑張る姿が好きなんですから」
「むつきママ……」
「キミが頑張ってるトコロを傍で応援出来るなんて、むつきは幸せ者のママです」
「……うん。頑張るよ!」
「ええ、頑張ってください。カバディを」
「ち、違うよむつきママ!っていうかカバディって何さ!?
「え、キミ、カバディを知らないのですか?」
問題ソコじゃないし! 俺がやってるのは剣道だよ!
「え、そうなんですか?」
「アンタ知ってるんとちゃうんかい!」
「ごめんなさい。むつきドジだから。くすん……」
その一言で済ますんかい!?
「ふふ……照れちゃって、可愛いですね♪」
「そのセリフさっきも言ったよ! ったく、大丈夫かよ……」
「ふふ、冗談ですよ」
「…………(全然冗談に聞こえないよ……)」
「そうですか、剣道ですか」
「そうだよ……(ぶすっ)」
「ならむつきに任せてください!」
「はいぃ!? いきなり何を……」
「むつき、こう見えても剣道にはちょっとうるさいんです」
「それは初耳だ」
「明日にもむつきが奥義を教えてあげます!」
「なんちゅーか、どうにも胡散臭いんだが……」
「大丈夫、この技なら絶対勝てます」
「ほう……」
「なにせ2本取れば勝つ剣道に、なんと9本同時に取れるという……
九頭龍閃じゃないか!?」
「もちろんその先の技も……」
いやもうそれいいよ! っていうか真面目にやってよむつきママ!
「とまあ、それくらい応援してるわけです♪」
「喜んで良いのか、怒って良いのか……」
「キミにはいつでもむつきがついてます! 頑張ってね、チュッ♪
なっ!? そ、そんなのじゃあ誤魔化せないぞ!」
「ふふ……♪」
「………くっ(だからむつきママって憎めないんだよぉ……)」


久慈光樹より一言

 ハピレス知らねっす……