渡辺さん

 

2月13日 掲示板より転載 74文字改行で62行


「わー、ミカちゃん、直接火にかけちゃだめだってば!」
「どうせ溶けたら型に流し込むだけでしょ?」
「チョコは湯煎しないと」
「こうばしい香りだね」
「だからいったのにー」
「ごめん、こんどは気をつけるから」
「お願いだから、五分前に説明したことくらい覚えててね」
「次、いってみよー!」
「先に鍋の焦げ付きをとってから」
「こんなこともあろうかと、お鍋も材料もいっぱいかってあるモンね」
「使うのはお鍋じゃなくて、やかんとボールだってば」
「そうそう、やかんとボール」
「なんか不安」
「お兄ちゃんの為ならえーんやこら♪」
「……すごく不安」



「できたー!!」
「だから、固まるまで振り回しちゃダメだよ!」
「ふぇ? ――とぅわっとっと」
「あぶなっ!」
(はしっ!)
「ふう」
「ナ、ナイスキャッチ」
「お願いだから、失敗チョコを作らないでー」
「うん、さすがに私もおなかいっぱい」
「…………」
「…………」
「ぷっ」
「ふはは」
「明日ニキビがでてきていたら、ミカちゃんのせいだからね」
「そのときは私もできてると思うわ」
「案外、お揃いの場所にできたりしてね」
「美人姉妹でーす、とかってね」
「自分で、美人っていう?」
「もっちろんでしょ」
「はいはい、ミカ姫は今日もご機嫌麗しゅう」
「あら、兄さんは私より、ヨウちゃんのほうがかわいいっていってたわよ」
「本当!?」
「んもー、うれしそうな顔しちゃって」
「うれしそうな顔なんて、そんな」
「隠さない、隠さない。どうせ、今日作ったチョコも、兄さんにあげるんでしょ?」
「これは、日頃からのお礼であって、別に」
「日頃のお礼なら、私が渡してあげてもいいよ」
「ミカちゃん、今日はいじわるだね」
「そうよ、ライバルに送る塩なんて持ってないわ」
「自分から、一緒に作ろうっていってきたくせに」
「おぼれる者は藁でもつかむ!」
「ミカちゃん、おぼれてたんだね」
「立ってるものは親でも使え」
「私、藁からお母さんになるの?」
「あなたは私に利用されていたのよ!」
「なら、仕上げは一人でやってね」
「わーーー、うそです、うそ。お願いだから最後までいてー」
「なら、明日は一緒にお店まで行ってくれる?」
「行きます、行かせていただきます」
「お兄さん、喜んでくれるかな」
「いやな顔でもしたら、明日は帰ってきても家に入れてあげない」
「そのときは、私も手伝おうかな」
「うん、約束だよ」



久慈光樹より一言

 すっかりシリーズっすな


 

1月30日 掲示板より転載 74文字改行で49行

題材「Kanon」


「祐一。それって」
「気持ちよくなれるいいグッズだ」
「まさか、私に使おうなんて」
「なんだ名雪、いつになくカンがさえてるようだな」
「バイバイ、祐一」
「まてぃ!(ぐいっ)」
「きゃっ」
「逃げられるとおもったか」
「祐一が狼さんにみえるよ」
「赤ずきんは、いちど狼に食べられないとな」
「せめて手袋はよそうよー」
「これは手袋なんかじゃなーい! 厚さ0.03mmという驚異の薄さを実現した、手術にも使われているスキンハンドだぞ」
「そういうのは、病院で使った方がいいとおもうよ」
「なにを! ひとが苦労して裏ルートから手に入れたアイテムを、おまえってやつは……」
「もうちょっと、ましなことに労力を使おうよー」
「お仕置きだな」
「じょ、冗談だよね」
「もちろん、本気だ」
「わっ、わあ。手の動きがいやらしいよ」
「気にするな、次期に慣れる」
「慣れるって、いったいなに……ひぅ」
「どうしたんだ、急に変な声を出して」
「な、なんでもない、よ」
「なんだか、ここが赤くなってきたぞ」
「だって、祐一が……ふっ、ん」
「鳥肌がたってるな」
「祐一にさわられると、腰の辺りがざわざわってするの」
「素直に気持ちがいいっていえないのか」
「気持ちよくなんてないもん。ただ……」
「ただ?」
「変な感じがする」
「気持ちよくないなら、やめようか」
「うー、祐一のいじわる」
「ははは、ごめん」
「いいもん、自分でするから」
「わるかったよ。ほらっ、こっちの耳は終わったぞ」
「片耳だけ掃除するなんて、イチゴサンデーにイチゴがはいってないようなものだよ」
「たぶん、かなり違うぞ」
「手袋まではめて何するかと思ったら、こんな事ばっかり。もう、自分でするから、耳掻きかしてよ」
「もう片方もやってやるって」
「変なことしようとしてるでしょ」
「やらないって」
「本当?」
「うそ」
「わー、祐一の変態ー」



久慈光樹より一言

 えろえろですな……


 

1月12日 掲示板より転載 74文字改行で54行


「ヨウちゃん」
「なんですか」
「俺、こんなところで、なにやってるんだろう」
「売り子、ですかね」
「そっか」
「はい」
「なあ、ヨウちゃん」
「なんですか」
「俺、こんなことやってていいのかな」
「ミカちゃんは、喜んでましたけど」
「そっか」
「もしかして、こういうの嫌いですか」
「そうじゃないんだけど」
「すきっしょオンリーなのが気にくわないとか」
「いや、あそこのキャラとか、可愛いと思うよ」
「気が合いますねー、私も七海先生はお気に入りなんです」
「好きなんだね、このすきっしょだっけ?」
「本が作れちゃうくらい好きです」
「だからかな。ここの開場で、俺だけ仲間はずれなんだなって思ってさ」
「仲間はずれ、ですか」
「前みたいなごちゃ混ぜのイベントじゃない。ヨウちゃんも、他のみんなも、この作品が好きな人が集まってるんだろ?」
「もちろんです!」
「なら、元の作品も知らない俺は、ここにいてもいいのかなってさ」
「お兄さんって、真面目なんですね」
「ミカには反対のことばかりいわれるけどな」
「ここに来る人たちはみんな、それぞれ別のことを考えていますよ」
「そうなの?」
「絵が好きだという人もいれば、シナリオが好きだという人もいます。このジャンルが好きだという人もいれば、好きなサークルさんが出るからって来てる人もいますよ」
「俺みたいのもいると」
「お兄さんは、こういうところは嫌いじゃないんですよね」
「活気があっていいね、お祭りは結構好きかな」
「なら、仲間はずれじゃないです」
「でもさ」
「この雰囲気が好きで集まった人たち、それでいいじゃないですか」
「うん、そうかもしれない」
「ミカちゃんがいれば、お兄さんがなりたくたって、仲間はずれになんてしてもらえないですよ」
「いえてるかも」
「それに、私だって」
「なにかいった?」
「い、いえ。独り言ですから」
「ねえ、ヨウちゃん」
「なんですか」
「ありがとう」
「な、なんですか急に」
「いいことを教えてくれたお礼かな」
「私は、こういうイベントが好きなだけですから」
「俺もヨウちゃんにお礼を言いたいから、いってるだけだよ」
「そ、そですね」
「だから、ありがとう」
「……はい」



久慈光樹より一言

 件の場所は活気あり過ぎの感が……


 

1月3日 掲示板より転載 74文字改行で60行

「あけまして、おめでとー」
「おめでたいな」
「ん? 正月早々、ブルーはいってどうしたの」
「誰のせいだと思ってるんだよ」
「自業自得とか」
「だぁ! おまえが変なこというからだろ」
「変なことって?」
「…………」
「…………」
「ていっ!(べしっ)」
「もう、なにするのよ!」
「二十歳過ぎるまで、酒は禁止!」
「兄さんの横暴」
「横暴でもいいから禁止だ」
「うー、わかったわよ」
「今日はずいぶんと、すなおだな」
「いつも私が素直じゃないみたいな、いいかたね」
「自分で素直だと思ってたのか?」
「もっちろん!」
「その根拠のない自信はどこから生まれてくるんだよ」
「ここ、かな?」
「確かに心臓は心の臓器って書くけどさ」
「三センチアップ!」
「胸囲がか?」
「バストに決まってるでしょ」
「アンダーか」
「トップよ!」
「……恥ずかしくないか」
「ちょっとだけ」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………ぷっ」
「勝ったな」
「元旦だというのに、なんで兄さんとにらめっこしなくちゃならないのよ」
「正月らしくカルタでもするか?」
「二人でカルタなんかやってどうするのよ!」
「じゃあ、百人一首」
「ふふふふふふ」
「はははははは」
「だーかーらー、正月ならもっと別にすることがあるでしょう!」
「ダウトか? ババ抜きか? 軍人将棋か!?」
「全部、二人でやってもしょうがないでしょうが!」
「なら、なにをするんだよ」
「別にゲームがしたいんじゃないわよ」
「ん?」
「お年玉とか、お年玉とか、お年玉とか」
「さてと、朝飯でも」
「兄さん。あけまして、おめでとうございます」
「急にコンビニのハッシュドポテトが」
「お年玉くれたら、後で買ってきてあげる」
「夕べの酒が、いまごろお腹に」
「ぽんぽんさすって上げましょうか?」
「…………」
「また、にらめっこでもする?」
「おまえなんか嫌いだっ!」
「嫌いで結構! ちゃっちゃと出す物をだす」
「俺の財布は諭吉どんが人数制限されてるんだよ!」
「せいぜい、なごりを惜しんでね」
「かむばっく、諭吉どーーーーーん!!」



久慈光樹より一言

 「軍人将棋」が候補に上がるあたりがダメデス。


 

1月1日 掲示板より転載 74文字改行で57行

「ミカ、寝るなら布団で寝ろよ」
「ふぇ…兄さん」
「炬燵(こたつ)で寝ると風邪引くぞ」
「私、寝てた?」
「調子に乗って酒なんか飲むからだ」
「大晦日くらい、いいでしょ」
「母さんが仕事だからってな」
「はいはい。小言ばかりいってると、またおばさんくさいっていわれるわよ」
「俺がおばさんくさくなったら、余すところ無くおまえのせいだ」
「責任とったほうがいい?」
「とれるもんなら、とってみせろ」
「とりあえず私のもだって、マーキングしておかないと」
「はあ?」
「んー」
「ばっ、ばかっ、よせ!」
「責任とるから、兄さんは私のものなの」
「だからって、なんでキスされるんだよ」
「私のものに何をしようと私の自由でしょ」
「おまえ、まだ酔ってるのか!?」
「酔っててても、しらふでも、キスはキスだから大丈夫!」
「なにが大丈夫なんだよ、こら、よせ」
「もう、往生際がわるいなー」
「しらふになってから、おまえにマウントポジション取られるよりましだ」
「そんなことしないから、大人しくしてね」
「いつも都合の悪いところだけ忘れるやつの言葉なんざ、信じられっか!」
「痛くしないからー」
「ほ、ほら、テレビで除夜の鐘がなってるぞ。おまえも煩悩をだな」
「百八じゃたりないよ」
「煩悩マンか、おまえは!」
「私の兄さんへの思いは、百八っつ程度じゃ、消えないんだよ」
「ミカ、おまえ」
「除夜の鐘で消えてくれるなら、楽だったのにね」
「……」
「初めてのキスなんだ、私」
「酔いを醒ませよ」
「醒めたら、できないもん」
「だったら、なおさらだ」
「いじわる」
「今さら気が付いたのか」
「いくじなし」
「よくしってるよ」
「ばか」
「お互い様だ」
「今日のことは忘れないから」
「……」
「だから、目をつぶって」
「おまえは、つぶらないのか」
「兄さんが目を閉じてから、考えるよ」
「……」
「……」
「……」
「すー」
「おい!」
「くー」
「はあ、おまえなあ」
「すー」
「おやすみ、お姫様」




久慈光樹より一言

 すっかりシリーズ化してるし。


 

12月31日 掲示板より転載 74文字改行で41行

題材:AIR

「お母さん」
「なんや、みすず。今日はにやにやしくさって」
「にはは。今日のお母さん、なんか楽しそう」
「俺にはおまえの方が楽しそうだが」
「だって往人さんがいるし」
「理由になってない」
「そうだよね、お母さん」
「そら自分の理由やろが、人の理由まで勝手につくるんやない!」
「違うの?」
「ちゃう」
「本当に?」
「絶対にちゃう!」
「お母さんって…」
「なんや?」
「照れ屋さんだね」
「だ、だ、誰が照れ屋やねん!」
「お母さんが」
「ちゃうゆうとるやろ(ポカ)」
「…がお」
「それをやめい!(ポカポカ)」
「…が、がお」
「往人さん」
「ん? 俺も叩いたほうがいいか」
「がお…往人さんも、いじわる」
「…(ポカ)」
「なんで叩くかな」
「何で叩かれるようなことするかな」
「うー、往人さん。久しぶりなのに変わってない」
「人間、そんなに簡単に変わるかよ」
「そうやそうや。居候が素直やったら、居候やない」
「居候だったのは一年も前の話だろが」
「ん? どうせ、泊まってくんやろ」
「いや、駅にでも泊まろうかと」
「なーに、遠慮しとんのや。うちらの仲やないか」
「どんな仲だ」
「この一年、うちはひとりで寂しかったのに」
「わっ、二人ともいつのまに」
「馬鹿野郎、信じるな」
「んー、往人のいけず」
「やっぱり」
「だから違うというとろうがーーー!」



久慈光樹より一言

 オチがもう一声欲しかったですな。


 

12月30日 掲示板より転載 74文字改行で60行

「兄さん、この袋はなに?」
「もう起きる時間か」
「時間じゃなくても起きるの!」
「まだ午前じゃないか、勘弁してくれよなー」
「そんなことより、これはいったいなに?」
「なんでもいいから、もう少し寝かせてくれ」
「誤魔化そうったって無駄よ」
「あんまり寝てないんだってば」
「いいからこれを見て!」
「ビニール袋?」
「何色に見える?」
「黒にしかみえねーよ」
「私、知ってるんだよ。黒いビニール袋は」
「エロビ中心の店とかでよくもらうな」
「……」
「金魚のまねか?」
「ひ、開き直ったって駄目だからね」
「男だったら、こんなもん当たり前だろ?」
「母さんだって」
「俺はおまえと違って二十歳を過ぎてるの。母さんだろうが警察屋さんだろうが、文句をいわれる筋合いはないんだよ」
「母さんが許しても、私が許さないもん」
「だからな、許してもらう必要は無いんだって」
「駄目ったら駄目!」
「理由になってねーよ」
「兄さんは見ちゃ駄目なの!」
「朝からおまえは〜」
「見たら、だめ」
「はぁ。ちょっと来い」
「わぷっ」
「一緒に寝てやるから、しばらくじっとしてろ」
「な、なんでよ!?」
「あー、うるさいうるさい。俺は寝るから静かにしろっての」
「こんな体勢で大人しくだなんて」
「嫌か?」
「ちょっと、苦しいし」
「これでいいか」
「息が、くすぐったいよ」
「我慢だな」
「おでこに、兄さん口がふれて」
「こうするのは、久しぶりか」
「たぶん、小学校の時が、最後かな」
「あのときは、おまえもかわいかったな」
「兄さんはあのころからエッチだった」
「このやろ」
「ほんとのことだもーん」
「まったく、なんでこうなったんだか」
「ねえ、兄さん」
「あん?」
「今は、かわいくない?」
「だったら、こんなことしねーよ」
「うん」
「俺は寝るからな」
「兄さんの顔、赤いよ」
「うるさい、もう寝るったら寝るんだ」
「こんどは私がしてあげよっか、おでこにちゅって」
「くーかーぐーごー」
「口でもいいんだけどなー」
「ぶっ!」
「ふふっ。兄さん、お目覚め?」



久慈光樹より一言

 もう何も言うまい。とりあえず20萬HITおめで。


 

12月26日 掲示板より転載 74文字改行で47行

「楽しかった」
「疲れた」
「もう、せっかくのクリスマスなのにおやじくさいなー」
「現役女子高生のパワーについていけってのが無理なんだよ」
「でもほら、私が着た三番目のコスなんてかわいかったでしょ?」
「なにが悲しゅうて、店が終わってまで服の繕い物をせにゃならんのだ」
「好きでしょ? そういうの」
「それとこれとは話が別さ」
「楽しくなかった、かな?」
「だから、疲れたといってるだろうが」
「なにを!? マニアなら金を出しても出席したいという女子高生とのクリスマスパーティーをなのに」
「殆ど飲み食いもさせてもらえず、採寸だ、衣装のなおしだ、強制労働だ。どこが楽しいっちゅうねん!」
「パー券の料金ってところかな」
「だーかーらー」
「……ねえ」
「ん? どうした」
「騒いだら、少しはすっきりした?」
「なにがだよ」
「わかんないよ、話してもらってもないし」
「わけのわからんやつだな」
「うん、私もわかんない」
「ありがとな」
「なにが?」
「俺もわからん」
「じゃー、帰ろっか」
「ちょっとまて、その酒臭いまま家に帰るのか?」
「大丈夫、大丈夫。あーれーお兄さまご無体なってことにしておくから」
「なにげに俺のせいになっている気がするんだけどな」
「そのために呼んだ兄さんだし」
「最近母さんが小言をよくいうと思ったら、おまえのせいか」
「がんばって怒られてね」
「てめぇ」
「大好きよ、お・兄・さ・ま」
「うがー、こんな時だけ」
「安心して、和服のときの『生娘コマ回し』はさすがに黙っておくから」
「ちくしょう、本当に生娘かどうか確かめてやる!」
「きゃっ、ちょっ、兄さん?!」
「ちっ、逃したか」
「わわっ、その手つき、なんかエッチだよ」
「気にするな」
「気にするよ」
「日頃の感謝がこもってるからな」
「兄さんのスケベ、変態ぃー」
「こら、逃げるな」
「あーん、なんでこうなったのーーー」



久慈光樹より一言

 あー…… 渡辺さん溜まってない?


 

12月23日 掲示板より転載 74文字改行で34行

題材:Kanon

With you(裏)

「…と、いうわけで名雪、金が無くてもできるプレゼントを考えた!」
「うにゅー、もう眠いよー」
「気にするな、途中ねてしまっても可ということで」
「痛いのは嫌いだよー」
「大丈夫だ、とってもきもちいいぞ」
「祐一、その手つきが」
「名雪だって好きな、あれだ!」
「あれ、ってなに?」
「百聞は一見にしかず、まずはそこにうつぶせになるんだ」
「説明くらいはききたいよ」
「ほらほら、はやくする」
「なにをそんなに…ん」
「とりあえず、このへんから」
「祐一、なにっを」
「力をぬけってば」
「あ…だって、祐一の手が」
「このへんとか、おまえ、好きだろ」
「祐一…ふぅん…いつのまに、祐一、こんなに…あっ」
「ほっほっほっ、とくと見よ、この修行の成果を!」
「修行なんて、どこで」
「きにしない、きにしない」
「気になる…あぅ、そこ痛、…ったいよ」
「すまん、激しすぎたか」
「ううん、ほかの所は、気持ち…いい」
「名雪もすきぞなもし」
「だって、祐一が…ふぁ…一生懸命」
「なんていっても、クリスマスと誕生日ぶんだからな、俺もがんばらないと」
「だから、夜なんだ」
「まあ、そんなところだ」
「気にしなくても…ん、いいのに」
「なに、受験勉強でつかれているだろ、マッサージくらい」
「じゃあ、後で祐一にもしてあげるね」
「俺は前の方がいいな」
「…ばか」



久慈光樹より一言

 祐一、オヤジくせぇ…… 願望?


 

12月22日 掲示板より転載 74文字改行で69行

「兄さん、じょしこーせー好き?」
「むっ、ずいぶんと難しい事を聞いてきやがったな」
「なにが難しいのよ、好きか嫌いか、それだけでしょ」
「一言に好きと言ってもだな、女子高生のなにが好きか。制服からはみ出そうな元気か、大人にさしかかったばかりのからだか、学生にしか着ることを許さないその制服か」
「正直にスケベだから好きだって認めようね」
「身も蓋もないな」
「自分の発言を省みてから言ってね」
「文学的、かつ俺らしい言葉だった」
「はいはい、文学的お兄さまに質問があります」
「うむ。ちっとくらい相手にしてくれてもいいと思うぞ、妹さま」
「それでね、今度の月曜日の話しだけど」
「無視っすか」
「二十四日はひま?」
「クリスマスだからな、二十人くらいデートの予約がはいってる」
「暇……なんだね」
「人の話、聞けよ」
「わぁ、すごい! 兄さん、モテモテなんだね!」
「おうよ、俺のことを見直したか?」
「十九又なんてことができる器用なひとなら、いまごろ店も繁盛していたでしょうね」
「絶対に店より大変だと思う」
「暇ならちょうどよかったわ」
「仕事があるからダメ」
「まだ、なにも言ってないわよ」
「なんか、頼み事だろ」
「正解。どうせ暇でしょ」
「仕事だって言ってるだろ」
「お店のこと?」
「他になんの仕事があるんだよ」
「もしかして、注文品ができてないとか」
「だったら茶ぁーなんて飲んでねーよ」
「他になんかあったかな?」
「お店は人がいないと、洋服が売れないってしらないのか」
「ここって人がいても、売れないでしょ?」
「……(しくしくしく)」
「ちょうど休みだしさ、私たちのパーティーに混ざらない?」
「たちって?」
「一緒のサークルの娘たち」
「朝になると、おまえの部屋からうつろな顔で出てくるメンバーか?」
「それは去年の話しでしょ! 今年は大丈夫だもん」
「なにが大丈夫なんだか」
「ねっ! いいでしょ」
「おまえ、さっきから人の話をぜんぜん聞いてないのな」
「大丈夫、お店が終わってからでいいよ」
「そこまでして出て欲しいのかよ」
「うん、その。みんなにいっちゃって」
「はぁ、わかったよ」
「やった! 全員本物の女子高生だから期待しててね」
「偽物がいたらこわいって」
「じゃあ、二十四日だからね」
「もう帰るのか」
「うん、みんなに教えないと」
「わかった、じゃな」
「ばいばーい……と、そうだ」
「ん? まだなにかあるのか」
「ちなみに、仮装パーティーだから」
「仮装って。おまえ、月末にもやるんだろう」
「場所はここ、八時からでいいよね?」
「ここ?」
「そう、ここ」
「…………」
「…………」
「おまえ、はじめっからそのつもりで」
「キャンセルはできないから、気を付けてねー」
「こらっ、待て! おい」
「じゃーねー」
「俺の話を聞けーーー!!」



久慈光樹より一言

 経験則ですか?


 

12月20日 掲示板より転載 74文字改行で62行

兄ちゃん ……おにいさま
ミカちゃん……いもうとさま
ヨウちゃん……おともだちさま


「お兄さん、この前はありがとうございました!」
「えーと、ヨウちゃんだっけ?」
「あっ! す、すいません。私ったら、自己紹介もせずに」
「いや、家の方で何回か挨拶した覚えはあるから」
「覚えていてもらって光栄です」
「い、いや。そんなすごいもんでもないんだけど」
「すごいですよ! いまいちぱっとしないサークルだった私たちが、ミカちゃんのお兄さんのおかげで今までにない売り上げだったんです」
「いや、今回は本がよかったんじゃないのかな」
「確かにがんばりはしました」
「ほら、やっぱり」
「でもいつもがんばってるんです」
「えっと、その」
「お兄さんの手腕のおかげですね」
「いや、手腕といわれてもね。適当にやってただけで」
「そんな、ミカちゃんから聞きましたよ。握手までしてくれたとか」
「なぜか求められたんだよね」
「しかも、男性層にまで!」
「そりゃー、まあ。お願いされればするしかないし」
「『して』くれるんですか!?」
「普通しない?」
「あー……(くらくら)」
「げっ、ヨウちゃん大丈夫?」
「すいません、想像しただけで眩暈が」
「想像?」
「はい、今度のネタにさせていただきます!」
「ネタ?」
「本のネタです!」
「はあ、ネタにされるくらいはいいけど」
「本当ですか? きゃー、本人公認ですー」
「公認って?」
「もちろん、私が書いている――もがっ」
「に、兄さん、あそこの服ってサイズ治るかな?」
「ん? まあ大抵なら治るけど」
「買うかどうかは別として、見て欲しいなーなんて」
「おまえが普通の服なんて、珍しいな」
「た、たまにはね」
「あっちのやつか?」
「うん、お願い」
「――ぷはぁ……はあ、はあ、はぁ。し、死ぬかと思った」
「兄さんにばらしちゃ駄目ってあれほどいったじゃない」
「私が殺されかけた原因って、それだけ?」
「それでもたりないなら、殺してから考えてもいいわよ」
「やっぱり良いです」
「ぜーーーったい、ばらしたりちゃだめだだからね」
「でも、お兄さんは公認してくれたよ」
「あの鈍い兄さんが、わかってるわけないでしょ」
「鈍いの?」
「そりゃーもう、私の気持ちなんて」
「え?」
「ううん、な、なんでもないわ」
「ミカー、これでいいのか」
「いま行くからちょっとまってー。
 とにかく、絶対にいっちゃだめだからね」
「もしばれたら?」
「今度は落ちるまで絞めてあげるわ!」
「は、はひぃ」
「冗談だよね?」
「……(にこっ)」
「おい、ミカ!」
「はーい。じゃ、私はいってくるから」
「うん、いってらっしゃい……」



久慈光樹より一言

 まだこのネタ引きずるんか……


 

12月18日 掲示板より転載 74文字改行で101行


「ありがとうございました」
「あの握手、いいですか?」
「先に言っておきますが」
「はい、作者さんじゃないんですよね」
「その通りなんだけど」
「お願いします」
「はあ、どうも」
「やった、ありがとうございました」
「いえ、こちらこそ」
「ありがとうございました」
「ぐおっ、おまえいつからそこに!」
「ほら、兄さんも」
「あ、ありがとうございましたー」
「元気がないなー」
「そう言うおまえはずいぶん、元気だな」
「あたりまえよ、一年の半分はこの日のためにあるんだから」
「後半分は夏の一日のためか?」
「もち!」
「おまえがこの日にかけてるのはよーくわかった」
「やっと兄さんにもわかるようになってきたのね」
「それはない!」
「ちぇっ、兄さんもこっちの人になれば、コス代が安くなるのに」
「勘弁してくれよ」
「あら、兄さんの店の売り上げは私と友達で持ってるような物でしょ?」
「普通の服も売れてるよ」
「一月に一度くらい?」
「失礼な! 二週間に一度くらいは売れるわい!」
「それで商売だってんだから、勇気あるよね」
「うるさいなー、おまえの客ってのが来る前は、もう少し売れてたよ」
「一週間に一度くらい?」
「三週間で二度」
「やっぱり、あの店がもってるのって、私のおかげよねー」
「そうですそうですその通りです。みんなおまえのおかげだよ」
「分かり切ってることだよね?」
「くそっ!」
「それは冗談としてもさ」
「きつい冗談だな」
「半分くらいね」
「……(しくしくしく)」
「諦めてこっち専門になったら?」
「いやだ」
「兄さん、腕もいいし、センスもあると思うけど」
「向いてる向いてないだけじゃ、納得できないものがあるんだよ」
「意固地なんだから」
「大人は複雑なんだよ」
「それにしちゃ今日は、ずんぶんと上手に切り盛りしてくれたみたいじゃない?」
「おまえなー、それが今日になっていきなりヘルプ頼んできたやつの態度か」
「手を握って鼻の下のばしてたの、見てたわよ」
「誰も鼻の下を伸ばしてなんか」
「もう、でれでれしちゃってさ。恥ずかしいったら、ありゃしない」
「握手お願いしますっていわれれば普通するだろう」
「はいはい、今日はとってももてたようで」
「おうよ、なんだか今日はスーパー兄様って感じだぞ」
「お気楽よねー」
「朝からこんな所に座らされて、唯一知り合いの妹はさっさとどっかいっちまったからな。開き直るしか無かったんだよ」
「悪かったわよ」
「かけもしないサイン頼まれて、断ったら今度は握手。勘弁して欲しいよ」
「だからごめんって言ってるでしょ」
「まあ、野郎より女の子の方が多いのが唯一の救いか」
「野郎って、男の人にも握手お願いされたの?」
「ヤケにさわやかに挨拶されたぞ」
「あは、あはははー」
「なんだなんだよ、いったい」
「人気のないところを歩くときは、お尻に注意してね」
「はあ?」
「なんでもない、こっちの話」
「まあ、いいけどさ。んで、熱出した娘なんて娘だっけ」
「ヨウちゃん?」
「そう、そのヨウちゃんには電話したのか」
「なんで?」
「朝は泣きそうな声だったんだろ、こっちは大丈夫だって伝えてやれよ」
「あ、うん。そだね」
「おまえってこういうことは、ちっともわかってないんだな。心配でおちおち寝てられないかもしれないだろ?」
「うん。そう、だね」
「自分だけ楽しんでないで、大丈夫だって伝えてやれよ」
「……うん」
「尊い、お兄さまの犠牲の上で成り立ってますってな」
「ごめんなさい」
「おっ、おい、何だよ急にしおらしくなって」
「私だけ、楽しんでたんだね」
「ばーか、おまえまで落ち込んだら、ヨウちゃんが心配するぞ」
「うん」
「ほら、いってこい」
「でもそろそろ私の番だし」
「電話かける時間くらい、かわんねーよ」
「ありがと」
「急いでこけるなよ」
「子供じゃ……うん」
「ほら、いってこい」
「あっ、兄さん」
「ん? なんだ」
「もう少ししたら、一緒に回ろうか」
「その格好でか?」
「かわいいでしょ」
「わかったよ」
「約束だからね」
「へいへい」
「じゃあ、いってくるねー」




久慈光樹より一言

 こんな妹はイヤダ……


 

12月18日 掲示板より転載 74文字改行で40行


「先っぽ見っけ!」
「きゃっ、こら、マサヒロッ!!」
「アキねえ、東京にいるうちに、太ったんじゃないー?」
「んもう、待ちなさい」
「へへーん、ここまでおいでー」
「よっ、久しぶり」
「あら、兄さん……あっ、マサヒロ。後で覚えてなさいよー!」
「賑やかなこって」
「ごめん、昨日も遅かったんでしょ。起こしちゃった?」
「母さんに言わせれば、この時間まで寝てる方が悪いらしいからな」
「ごめん」
「たまにはいいさ」
「マサヒロがいれば、たまになんて言ってられないんじゃない?」
「おまえがいなければ、そんなでもない」
「それって暗に私がうるさいって言ってる?」
「違うって、普段は本当に静かなんだよ」
「んー、私が騒動の原因ってこと?」
「まあな。おまえのおかげだ」
「うるさいのが?」
「あいつが元気なのがだ。おまえわざとやってるだろ?」
「ちょっとね」
「これだもんな。でも、そこがいいのかもな」
「小さい頃は私が面倒見ていたからでしょ」
「それもあるかもな。あいつ何でも『アキねえ』だもんな。悪戯もするけど、相談するのもおまえだけだ」
「そうなの?」
「さあ、父さんや母さんには聞いたことはないけど」
「もしかして、寂しい?」
「お兄さんとしては、かわいい弟を妹に取られて寂しい限りだ」
「ほら、いるじゃない。ここにかわいい妹が」
「うちにはこんな妹しかいないんだよな」
「ちょっと、なによそれー」
「いかん、本音がつい」
「そういう意地悪するから、マサヒロがよりつかないんでしょ!」
「すまん、久しぶりに会う妹があまりにかわいいからつい」
「心にも無いことをいうな!」
「なんの、おまえなら先端を指でつついても痛くないほどにかわいいぞ」
「どこの先端の話しよ」
「よし、つついて教えてやろう」
「もう、兄さんのすけべっ!!」




久慈光樹より一言

 少なくともわたしゃ守っとるぞ→50行


 

12月18日 掲示板より転載 74文字改行で52行


「いらっしゃ――なんだ、おまえか」
「なによ、そのいかにも損したって顔は」
「おお、損したぞ。俺のくすみのない営業スマイルを返せ」
「マックの入れ物でいい?」
「誰がいるか、そんなもの」
「なによ、自分でいったくせにー」
「美人のスマイルならまだしも、男のスマイルだってありえるんだぞ」
「……(にこっ)」
「なんのつもりだ」
「もちろん、美人のスマイル」
「おまえは幸せだな」
「もち、胸張っていえるね」
「わかったから、さっさと帰れよ」
「来たばっかりなのにー」
「俺はし・ご・と・ちゅ・う・な・の」
「私はお・きゃ・く・さ・ま・な・の」
「…………」
「…………」
「どのようなご用件でしょうか、お客様」
「この前オーダーした服はできているかしら」
「少々おまちください」
「我が兄ながら、プライドのかけらもないのね」
「ほっとけ」


「おまえ、本当にその格好で行く気か」
「開場までは私服、これは中で着るの」
「そうじゃなくて」
「似合うかな」
「まあな、って違うく――」
「え、本当に?」
「はあ? 似合うんじゃねーの、それなりに作ってあるし」
「そうじゃなくて、これをきた私、かわいい?」
「…………」
「かわいく、ない?」
「はーか」
「どうせ、ばかだもん。これだって、一生懸命……」
「誰が作ったとも思ってるんだよ」
「え?」
「似合わないわけが無いだろうが」
「本当に?」
「知るかっ!」
「ねえ。今日、この格好でお店手伝ってあげようか」
「ばっ、おまえなにいってんだよ!」
「この店でなら、この格好で仕事しててもおかしくないもん」
「そうじゃなくてだな」
「はい、けってー」
「勝手に決めるな」
「持つべきは、兄だよねー」
「おまえな、こんな事がばれて見ろ、俺は家に帰れなく――」
「さー、張り切って仕事仕事!」
「だからー!」





久慈光樹より一言

 掲示板だから見逃すと思ったらオオマチガイだ!