12月2日 雑記より転載 74文字改行で50行
テーマ「親孝行と意地っ張り」
「おっす、がんばっとるか兄よ」
「がんばっとるか、じゃねぇ! お前も手伝え!」
「ふーんだ、私ぷろぐらむなんてわかんないもーん」
「ちくしょう、なんだって俺がこんな目に……」
「たまに帰ってきたときくらい親孝行しなよ」
「家の会計システム無償で作らせるのが孝行かよ!」
「まーいいじゃないの」
「くそー、絶対に請求してやる」
「……あのさあ、お兄ちゃん」
「あーん?」
「あ、いいからいいから、作業続けなよ」
「言われなくてもそうするよ! まったく……」
「……あのさあ、お兄ちゃんさ」
「あーん?」
「いつまで家にいるの?」
「なんだよ、寂しいのか?」
「ばばばばばばばか言わないでよ! なんで私が!」
「そんな力いっぱい否定しなくてもいいだろ……」
「ふん!」
「まあ再来週には東京に戻ると思うぞ」
「そっか」
「んー、ここのロジックが悪さしてんのか?」
「……あのさ」
「今度は何だよ」
「大学院、どうしても東京じゃなきゃダメだったの?」
「なんだよ、やっぱり寂しいのか?」
「そそそそそそんなわけ無いでしょ!」
「だからそんな力いっぱい否定するなって……」
「ふん!」
「まああのまま京都に居てもよかったんだけどな」
「どっちにしろ、ここに戻ってくる気は無かったんだ」
「まぁな」
「そっか」
「うぉあ! コンパイル通らねぇ!」
「……あのさ」
「だぁ! だから何なんだよお前は!」
「お兄ちゃん、寂しくないの?」
「なんだ、お前やっぱり寂しいんだろ?」
「……うん、寂しいよ」
「だからそんな力いっぱい否定……って、え?」
「寂しいに決まってるよ」
「え? え? え?」
「……」
「……」
「ばーか、嘘に決まってるでしょ、嘘に!」
「……おぃ」
「ふん! じゃあ私戻るから、しっかり働きなさいよ!」
「何なんだお前は!」
「……バカ」
久慈光樹より一言
こんな妹ほし……ゲフフン!
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10月17日 雑記より転載 74文字改行で51行
テーマ「兄妹ゲンカ」
「さて、ここでチミにひとつ質問だ」
「何かしら、お兄さま?」
「ここにある、このシャツ」
「ふむふむ?」
「これは俺が昨年の夏に購入した、それはもう大変にお気に入りのシャツだ」
「ふーん、そうなんだぁ」
「どのくらいお気に入りかと言うと」
「言うと?」
「もうこのシャツさえあれば、ズボンもパンツも要らないというほどだ」
「……それはちょっと変態入ってると思う……」
「で、質問に移るがよろしいかね、妹よ」
「はいはい、いいですわよ。何かしら、お兄さま?」
「なに、簡単なことだ。このシャツをよく見てくれたまえ」
「はいはい?」
「ここにででーんと、穴があいているだろう?」
「えー、よく見えなーい」
「マリアナ海溝もかくやと言わんばかりの、見事な穴じゃないか」
「あらー、立派ねー」
「よく見ると、縁が焦げているのだが」
「あらー、ほんとうねー」
「さらによく見ると、まるでアイロンのような形をした穴なのだが」
「あらー、そう見えなくもないわねー」
「そう、まるでアイロンがけに失敗し、焼き焦がしたような!」
「あー、ごめん、それ私」
「……」
「……」
「……ふふ、ふふふふ……」
「……おほほほほ……」
「ふふふふ、ふふふふふ」
「おほほほほほほ」
「……」
「……」
「ふざけんなくらぁぁぁ!!」
「わぁぁぁ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさーい!」
「ごめんで済んだら警察はいらんのじゃぁぁ!」
「だ、だってしょうがないじゃないの! 失敗しちゃったんだからぁ!」
「失敗しちゃったんだからぁ ……で済まされるかこらぁ!」
「うううううっさいわねっ! アイロンがけくらい自分でやんなさいよっ!」
「うわっ! 逆ギレ!」
「だいたい何よ! お兄ちゃんぜんぜん家事しないじゃないの!」
「ええいやかましい! とにかく直せ! 今すぐ直せ!」
「うっさいわね! 直るわけないでしょ、このトウヘンボク!」
「あああ兄に向かってトウヘンボクとは何事か! このナイチチが!」
「ななななななんですってーー!!」
「うわははははっ! 図星を突かれたようだなぁ!」
「うぐぐぐぐぐ……」
「わははははっ! ナイチチ、ナイチチ!」
「お兄ちゃんの…… お兄ちゃんの……」(低い姿勢からのタックル)
「おおおお?」(床に倒される兄)
「ばかぁぁーーー!!」(そのままマウントポジションにて掌打ラッシュ)
「ぎゃぁぁぁ!」
久慈光樹より一言
……ナンダコレ?
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10月13日 雑記より転載 74文字改行で50行
テーマ「望郷」
「お兄ちゃん」
「なんだ、まだ起きてたのか」
「私もう中学生だよ? こんな時間になんか寝ないよ」
「そうか、お前もう中学生になったのか」
「……何してるの、縁側で一人で」
「いや、別に」
「ふーん。 よいしょっと」
「……」
「月が、綺麗だね」
「ああ」
「……」
「……」
「……たばこ」
「あ? ああ、わりぃ」
「あっ、いいよいいよ消さなくても」
「そうか」
「たばこ、いつから吸うようになったの?」
「さあ、いつからだろうな」
「家に居たときは、吸ってなかったのに」
「ばか、ここに住んでたのなんてもう3年も前の話だ」
「……うん」
「……」
「……お兄ちゃんってさ」
「あん?」
「意地っ張りだよね」
「……」
「……ちょっと、何よその『お前には言われたくなかった』って顔は」
「いや、そこまでわかってるなら俺から言うべきことは無いが……」
「ふん!」
「で、何が言いたいんだよ」
「……あのさ」
「あん?」
「急に帰ってくるから、お父さんもお母さんもびっくりしてたよ?」
「……」
「向こうで何かあったんじゃないかって」
「……」
「でもさ、お兄ちゃんは意地っ張りだから」
「……」
「何かあっても、絶対に言わないだろうから聞かないって。お母さんが」
「……そうか」
「……」
「……」
「……あのさ」
「ん?」
「……ううん、なんでもない」
「そうか」
「……」
「……」
「……今夜は、本当に月が綺麗だね、お兄ちゃん」
「……ああ、本当にな」
久慈光樹より一言
イマイチ
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10月9日 オマケ 74文字改行で143行
「ただいまー、って、もう着いてたのか、早かったな」
「……」
「どうしたんだよ、お前」
「……」(無言で積上げられた雑誌類を指差す。8割方えろ同人誌)
「ぐはっ! おおおおおまえ、これいったいどこから!」
「……お掃除」
「へ?」
「お部屋、お掃除してた」
「バ、バカモノ! 人の部屋、勝手に掃除などするな!」
「だって、私の寝るところ無いもの」
「急に来たいなんて言い出すのが悪いんだろ!」
「……これ、捨てるから」
「な、なに?」
「全部、捨てるから」
「え、あ、いや、これは……」
「す・て・る・か・ら!」
「はい……」
(秘蔵のえろ同人誌は全てビニールテープで括られ、資源ゴミに)
「お兄ちゃんのえっち(ぼそっ)」
「バ、バカモノ! 健全な男児たるものだなぁ、この程度は普通! というか常識!」
「カノジョのいない男児の、でしょ」
「失敬だなキミは! 失敬だなキミは! 失敬だなキミは!」
「3回も言わなくても……」
「ほっとけ!」
「ふーん、やっぱりお兄ちゃん、カノジョいないんだ」
「……なんか楽しそうだなお前」
「べっつにー?」
「あーもう! ニヤニヤすんな、気持ち悪ぃな」
「あっ、ひっどーい! せっかく晩御飯の用意してあげようと思ったのに、もう作ってあげないから!」
「お前が料理? HAHAHA!」
「なによそのアメリカンテイストなジェスチャーは! あったま来るわね」
「いやいや、べっつにー?」
「ふん! 私を3年前の私だと思っているとイタイ目みるわよ」
「ほほー?」
「きー! 見てなさいよー!」
(30分後)
「(がつがつ)」
「ふっふーん、お味はどうでしょうか、お兄さま?」
「(がつがつ)」
「ああもう、たくさんあるから、そんなにがっつかないでよ」
「(がつがつ)」
「うふふふ、おかわりあるからね」
「おがわ……ぶふぉっ!」
「ぎにゃー!」
(食後)
「食った食った」
「信じらんない、4合も炊いたのに」
「久々に人間の食物を食った」
「普段ちゃんと食べてるの?」
「概ね」
「おおむねって…… ちょっとお兄ちゃん!」
「あー、うっせぇうっせぇ、風呂入ってくるわ」
「ちょっと待ちなさいよ!」
「なんだ、お前も一緒に入るか?」
「なっ……バカ!」
(お風呂)
「ふぃ、湯船に浸かるのも久々だなぁ。いつもはシャワーで済ませちまうもんな」
「お、お兄ちゃん」
「んー?」
「えーと、その…… ゆ、湯加減、どう?」
「あー、最高」
「そ、そう、よかった」
「ふぃー」
「……」
「お、お兄ちゃん」
「んー?」
「えと…… しゃ、シャンプー、そう、シャンプー足りてる?」
「あ? 足りてんじゃねーの?」
「そ、そう」
「何だよお前」
「べ、別に?」
「……ヘンなヤツ」
「(ううっ、やっぱり恥ずかしくてダメだぁ)」(水着姿の妹さま、退場)
(就寝)
「ごめんね、ベッド取っちゃって」
「まったくだ」
「やっぱり、私が床で寝るよ」
「あー、つまらんこと考えてないで、はよ寝ろ」
「う、うん」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……お兄ちゃん、もう寝ちゃった?」
「……」
「寝ちゃったか」
「……」
「……」
「……」
「……今日、急に来て、ごめんね」
「……」
「お兄ちゃん、休みに全然帰ってこないんだもん」
「不思議だよね、お兄ちゃんが家にいたときは、そんなこと全然思わなかったのに」
「……」
「なんかね、最近、変なんだ、私」
「ぼーっとしてるって、よく友達にも言われる」
「ほんと言うとね、私…… 寂しかったんだと思う」
「……」
「寂しかったの……」
「……」
「……」
「……もう、寝ろ」
「……うん」
「……」
「……おやすみ、お兄ちゃん」
(翌朝)
「お兄ちゃん! おはよう!」
「……今、何時よ?」
「もう7時だよ」
「すまん、よく聞こえなかった、もう一度聞く、いま何時だ?」
「だから、7時だってば」
「……おやすみ」
「ちょっとー! 寝直さないでよね!」
「やかましい! 7時だと? ふざけるな! 7時だと? 普段なら就寝時間だ!」
「……お兄ちゃんヤバイよそれ」
「……俺もそう思う」
「いい天気だよ、布団干すから起きなさい!」(兄の毛布を引っぺがす)
「わっ! バカ、やめろ!」
「あっ……」(目線、ある一点に固定)
「あっ……」(目線、ある一点に固定)
「ぎにゃー!」
「待て! これは違うんだ!」
「おおおおお兄ちゃんの変態ーーー!!」
「ばばばばばかもの! これはオトコの朝の生理現象であってぶべらっ!!」
「変態変態変たーい!」(マウントポジションから掌打ラッシュ)
久慈光樹より一言
妬
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