カワウソさん

 

1月25日 掲示板より転載 74文字改行で42行



(カチャ、ばたん。とてとて)
「あ、お姉ちゃん、お帰り」
「おう、水菜お帰り――あ」
(ニコニコッ)
「なんだ、お姉ちゃんがミズナ持っていってたんだ」
(――コクン)
「ううん、いいのいいの。何処に行ったかわかればいいんだし」
(ニコッ)
「あはは、そうだね。それもよかったなぁ〜」
「水菜、なんだって?」
「あ、うん。お姉ちゃんがね。『ミズナを抱っこすると気持ちいいから公園まで連れていってひなたぼっこしていた』って」
「なるほど」
「洗濯したかいがあったよね」
「――二日掛りでな」
「ふわふわだし」
「――綿まで出した。大変だったぞ」
「やっぱり、洗ってよかったよね〜」
「――ほとんど俺一人でやったような気がするがな」
「うっさいわね!!」
「あいにくだが、事実だ」
「な、なによぉ」
(ギュッ)
「おわ、どうした水菜?」
(ニコニコッ)
「も、もう、お姉ちゃんったら」
「どうした?」
「うん、『ミズナもいいけど浩一のほうがもっと気持ちいい』って」
「そ、そうか……」
「うふふ、えいっ」
「どわっ、鈴菜まで抱きつくな」
「いいじゃない。ねー、お姉ちゃん?」
(ニコニコニコッ)
「お、おい……」
「それとも浩一、こういうの……嫌?」
「い、いや。そんなことはない」
「じゃ、いいじゃない。今日は予定もないし、このままお昼寝でもしましょ」
(コクン)
「え、おい、ちょっとまった」
「はい。決まりね」
(ニコッ、クイクイ)
「――ま、いいか。お付き合いさせていただきますよ。お姫様達」



久慈光樹より一言

 次からえろえろで?


 

1月22日 掲示板より転載 74文字改行で58行

題材「顔のない月」

タイトル「an Every Day」


「ねぇ、浩一」
「あ、どうした?」
「ミズナ知らない?」
「さっき下の公園に行ったぞ」
「なにいってんのよ。ミズナが一人で動けるわけないじゃない」
「はぁ?お前こそなに言ってんだ?足がちゃんとあるんだ。動けるに決まっているだろ」
「そりゃぁ、足は付いているけど――ってそうじゃなくてっ!!あの足でどうやって歩くのよ!!」
「交互に前に動かす」
「――アンタねぇ、私の事、からかっているでしょ」
「俺はきっぱりまじめに答えているぞ、お前が水菜が歩けないとかとんちんかんな事抜かすからだろうが」
「何処がとんちんかんよ!!ミズナが自分の意思で動いたって言うの?アンタこそアタマ、おかしくなったんじゃない?」
「お前こそなんだよ。実の姉に向かってずいぶん酷い事――って」
「………………………………」
「………………………………」
「…………………………ねぇ」
「なんだ?」
「ひょっとして、すっごくバカバカしい勘違いしていない?」
「奇遇だな。俺もそう感じていたところだ」
「――ったく、信じられない!!なんで間違えるのよ!!」
「お前がミズナって言うからだろ?俺は『みずな』って言われたら、『水菜』を真っ先に思い浮かべるんだよ」
「あのねぇ、浩一がお姉ちゃんを連想するのは勝手だけど、私はお姉ちゃんのことは『お姉ちゃん』って呼んでいるわよ。全く、自分の恋人の言葉づかいくらい覚えなさいよね」
「うっさいなぁ、ちょっと勘違いしただけだろ?」
「――ひどい」
「え?」
「ひどいよ、浩一。あなたには私のすべてを把握してほしいのに、あなたはもう、私の事なんてどうでもいいのね……」
「お、おい。誰もそんな事いってないだろ」
(シクシクシクシクシクシク…………)
「な、なんだよ鈴菜。泣くなよ」
(シクシクシクシクシクシク…………)
「だから、あのな。そんな泣く事じゃないだろうが……」
(シクシクシクシクシクシク…………)
「………………………………」
(シクシクシクシクシクシク…………、チラッ)
「…………………………おい」
(プイッ、シクシクシクシクシクシク…………)
「だぁ!!わかった。わかったからつばを目に付けてまで演技するの止めろ!!」
「あ、バレてた?」
「目の前でやられりゃな」
「うーん、やっぱり涙は自前で流さないと駄目よね」
「………………………………」
「千賀子さん」
「――は?」
「だから、千賀子さんが教えてくれたの。浩一をやりこめるにはこういうのも有効だって」
「アノヤロウ……」
「ちなみに伝言もあるわよ。『報復を恐れないのなら、やってみろ。こちらはいつでもいいぞ』だって」
「ぐぅ……」
「ふっふ〜、浩一の負け」




久慈光樹より一言

 えろえろですな。