なゆちゃんふぁいとっ

Prezented By 東方不敗








起きてみると祐一がつかれたように私のことを見ていた。

「うにゅ? 祐一、なんでここにいるの……?」

まだしょぼしょぼする目をこすりながら一番大好きな人に聞く。祐一は、なんだか疲れたように肩を落とすと、

「やっと、起きたか……」

「……ふにゅ?」

「いや、今日はいつもよりいっそう起きなくてな……。けろぴーで頭殴ったんだけどそれでも起きないもんでどうしたもんかと困ってたんだが……」

「……祐一。けろぴーいじめちゃダメだよ……」

「とにかく、さっさと起きろっ。今日は本気で遅刻するかもしれんぞっ」

「……うー、眠いおー」

「うーでもだおーでもない。さっさと起きろっ」

「……まだ眠いー」

「ああもうっ」

ちゅっ。

困ったように頭を掻くと祐一が私にキスしてきた。

「……これで、起きたか?」

「……おとぎばなしじゃないんだから、眠気飛んだりしないよー」

「この前は起きたじゃないか」

「……あれは狸寝入りだおー……。ぁ」

自分が何を口走ったか気付いて慌てて口をふさぐ。でも遅かったみたいでじろりとジト目で祐一が私の事を見てる。

「……ふーん」

「……あ、あの、祐一」

「……じゃあ違う起こし方を考えなきゃな」

「……祐一ぃ」

「これからはキスして起こしてやらん」

「祐一酷いよ極悪人だよー」

「んなこと言っても無駄だ」

「う〜」

「唸っても無駄だ」

「……ごめん、祐一」

「そういうこと。素直にあやまりゃいいんだ。じゃ、さっさと起きろよ」

「……祐一」

「ん?」

振り返る祐一。その顔に、

ちゅっ。

「朝は、おはようございますだよっ、祐一」

「……ああ、そだな、おはよ、名雪」

祐一が私の頬をそっと包みこむと大人のキスをしてくる。そのままどさっとベッドに……

え?

「だ、ダメだよ祐一、今日学校あるんだからっ、んうっ、くぅ……」

唇をまたふさがれる。

「そうか? じゃあ遅刻だな」

「……祐一のエッチ」

「男はいつだってエッチだ」

「……祐一は、特別だよ。んっ、うあっ……」

また祐一がキスしてくる。唇を放すと、耳元でそっと、

「大好きだよ、名雪」

「祐一すごく恥ずかしい事言ってるよ」

「うっせい」

そう言って祐一がまたキスしてくる。激しいキス。

「んっ……ふあぁ……んあっ」

なんだか頭がぼうっとしてくる。そして――

結局、二人で学校に着いたのは昼休みが終わったころだった。









学校に着いたのは昼休みぎりぎりだったから学食に行く時間も無かった。

「う〜、お腹すいたよ……」

机に突っ伏しながら祐一をにらむ。

「朝飯も食ってなきゃ昼飯も食ってないからな」

「うう〜、酷いよ祐一〜」

「何を言う、そもそもお前が狸寝入りなんかしてたのが原因だろうが」

「違うよ〜、祐一が悪いんだよ〜」

「あいかわらずな登校のしかたね。お二人とも」

いつのまにか香里が近づいてきていた。

「で、今日は随分盛大に遅刻してたみたいだけど、何やってたの?」

「名雪と愛を育んでたんだ」

「わ、何言ってるんだよっ」

祐一に抗議する。確かにあってることはあってるけど……

「あっそ……。ま、そんな事かと思ってたけど、いいわねアツアツで」

「う〜、香里〜」

ジト目で香里に抗議する。うう、なんだか顔があついよ……

「ま、あなた達がそう言う仲だっていうのはみんな知ってる事だし、いいんじゃないの?」

「ああ、そうだろうな。どっかの誰かさんがまた言いふらしたせいでっ」

祐一の視線が痛い。

「うう〜、だってだって、嬉しかったんだもん」

「だからって言っていい理屈はない」

「そうね、あたしもそう思うわ」

「う〜、酷いよ香里も祐一も〜」

「にしても腹減ったな」

「無視……」

「なに、なんも食べてないの?」

「いや、名雪を食べてきた」

ぎゅ〜っと祐一の頬を引っ張る。

「ひはいへふはふひはん」

「祐一、言っていい事と悪い事があるんだよ」

ぱっと祐一の頬を放して、ぷく〜っと頬を膨らませながら言う。

「お前な、じゃあ俺と名雪が付き合い始めたのは言っていいのか?」

「うん、もちろんだよっ」

にっこりと笑いながら言う。

「香里、助けてくれ」

「どうやって?」

「名雪を止めてくれ」

「無理ね」

「やっぱりそうか」

「……香里、即答するなんて酷いよ〜」

「あたしは馬に蹴られるのはゴメンなのよ」

「う〜、祐一〜、香里があんなこと言ってるよ〜」

「香里が正しいと思うな」

「祐一〜」

うう、酷いよ二人とも……

そんな事をしてると五時間目のチャイムが鳴った。

「……結局お昼ごはん食べられなかったよ」

「あきらめろ名雪。俺だって腹減ってるんだ」

「祐一のせいでしょ……」

「さっ、勉強でもするか」

「ごまかしても無駄だよ」

「……え〜と」

「イチゴサンデー」

「……太るぞ」

「わ。酷いよ」

「このごろ毎日食ってるだろうが」

「う〜。体重はキープしてるもん」

「ま、一杯ぐらいならいいか」

「ありがとう、祐一♪」

ちゅっと祐一のほっぺにキスをする。

「……お前な、少しは人の目とか気にしろよ」

祐一がちらちらと教室を見まわしながら言う。なんだかみんなこっちのこと見てる。

「あたしは気にしないから良いんだよ♪」

「……前々から思っていたが、やっぱり名雪の感覚は世間から3mぐらい横にずれている」

「そんなことないよ〜」

「人が考えてる事に突っ込むな!」

「しっかり声に出てたよ」

「何、しまったぁ!」

大げさに驚く祐一。相変わらず面白い。

「あはは……。祐一、ちょっと大げさだよ」

「いや腹が減ってるからテンションだけでも高く」

「祐一のせい……」

「だからそれは……」

「う〜。思い出したらお腹へってきたよ……」

「だいじょぶだ。気のせいだから」

「そんなことないよ〜」

「大丈夫だ。俺はお腹一杯だから」

「え? なんで?」

目をぱちくりさせる。もしかして祐一こっそり何か食べてたの……?

「名雪を食べたから」

「……祐一ぃ」

「なんで泣きそうな顔をする」

「……だって、だって……そんなこと言うなんて、恥ずかしいよ」

「俺にキスしたときは恥ずかしくなかったのにか?」

「う〜。……でもぉ」

つんつんと指を突付きながら上目使いに祐一のことを見る。う〜、顔が熱いよ……

がばっ!

いきなり祐一に抱きしめられた。ざわっとわく教室。

「わっ。ゆ、ゆ、祐一っ!?」

周りを見ると香里と北川君に始まって全員が全員興味津々って言った目でこっちの事を見ている。

「う〜。恥ずかしいよ祐一……」

こつんと頭を祐一の胸に当てる。あったかい匂いがする。

大好きな人の匂い。

「今日から俺も積極的になろうと思うんだが」

頭の上からちょっと意地悪めいた声が聞こえる。

「いいよならなくて……」

顔を上げないで言う。顔が熱い。耳まで真っ赤になってそう。

「いや名雪の恥ずかしがる顔を見てみたくて」

「……あたし今すっごく恥ずかしいよ……」

「そうだろうな。なんつったって耳まで真っ赤になってる」

う〜……やっぱりそうなんだ……

「意地悪だよ祐一……」

「俺はむかしっから意地悪だ」

「……う〜……。もっと意地悪になったよ……」

「そうかもな。でもそれには理由があると思うんだが」

祐一が私を抱きしめる手を放すとそっと頬を両手で包みこんできた。顔を上げさせられて、祐一の、ちょっと赤くなった顔が見える。

「大好きな人には、意地悪したくなるもんなんだよ」

「……祐一、顔、赤いよ」

「お前なんか耳まで真っ赤だ」

「……祐一だって」

「……名雪」

「……祐一、意地悪だよぉ」 かすれた声で祐一の事を見ながら言う。

「ああ、そうだろうな……」

祐一の顔がそっと近づいてくる。

「だって、俺は名雪の事が世界で一番大好きなんだから」

祐一の唇が、あたしの唇に重なる。

大好きな人の唇は、柔らかくて。

ちょっと、あったかかった。









「……ねえ、相沢くん?」

「なんだ香里」

「先生、来てるわよ」

「……え?」

言われて、教壇の方に振り向くと頬をひくひくさせた数Aの先生が立っている。

「……随分な身分だな。相沢、水瀬?」

「……え、ええっと、先生、どこからいました?」

「お前が水瀬を抱きしめた辺りからだ」

「……そ、そうですか……」

「ああ、全くいい身分だな。独身の俺を目の前にして」

「……あ、あはははは……」

「はっはっはっはっは」

「あはははははは」

「はっはっはっはっは」

「あはははははははは」

「相沢、水瀬!」

「は、はいっ!」

「廊下に立ってろ」

「……はい」

そんなこんなで今祐一と並んで廊下に立っている。

「……祐一がいけないんだよ」

「お前だって気付かなかっただろうが」

「……意地悪」

「うっさい」

「イチゴサンデー」

「却下だ」

「買ってくれなきゃあの目覚まし学校にもってくるよ」

「……名雪。お前結構ひどい奴だな」

「祐一ほどじゃないよ」

「いやそれほどでも」

「誉めてないよ」

「俺もそうだと思った」

「う〜」 しばらく唸ってたけどうなるのをやめるとじっと祐一の事を見る。

「……なんだよ、今度は」

「……ねえ、祐一」 ちょっと、上目使いになりながら、でもはっきりと言う。

「……ん?」

「……私も、世界で一番、祐一の事、大好きだよ」

「…………名雪」

祐一がそっと抱きしめてくる。柔らかい、抱きしめ方。

「ずっと、一緒にいようね……」

「……ああ」

くしゃっと祐一が私の頭をなでてくる。

「約束、したもんな……」

「……うん」

そっと祐一の頬に手をやる。

「祐一」

「なんだ?」

「本当に伝えたい思いって、言葉じゃ伝わんないって思ったことない?」

じっと、祐一の事を見つめる。

そして、ちょっと息を吸い込んで、笑いながら言う。

「だから、もう一度」

祐一の首に手を回して私からキスをしてあげる。






世界中にはどんな想いも叶う日がくる

 ずっと旅をしてゆく僕らに

 小さな精たち舞い降りる



Kanon 風のたどり着く場所















<おわり>








どうも皆さん、東方不敗です。

今回の小説。二時間で書きあがりました。名雪と、祐一のお話。連作物放っておいてなにやってるんでしょう? 甚だ謎です。まあ気にしないで下さい。もしくは何かがあったんだって察してください。

それでは。またお会いしましょう。

Writen By 東方不敗――