あゆあゆな一日

Prezented By 東方不敗








ちゅん、ちゅんちゅん……

ん……朝かな……

ごそごそと布団の中から頭だけだすとカーテンの隙間から明るい光が部屋に射し込んで来ていた。

「あふ……」

まだしょぼしょぼする目をこすりながら布団から抜け出す。ちらっとベッドの方を見るとまだぐっすり寝てる大好きな人の顔が見えた。その顔に、ちゅっとキスしてあげる。

「ん……」

「わっ」

ちょっと驚いてすくみ上がる。けど、ただうめいただけみたいでまだ起きる様子はなかった。

「……おどかさないでよ」

「……あゆ……」

「?」

祐一くんの声に目をぱちくりさせる。寝てると思うんだけど……。てことは、寝言?

「……祐一くん?」

「……相変わらず、敏感だな……。お前……」

ぼっ!

「も、もうっ、なんて夢見てるんだよっ!」

顔が熱くなるのを感じながら叫ぶ。もうっ、なにが、敏感だよ……

「うぐぅ……。顔熱いよ〜……」

祐一くんのばか……えっち、すけべ、変態……。どんな夢見てるんだよ……

「あゆ〜……」

「今度はなに……?」

「……俺も、好きだからな……」

「…………」

ふふっ……。いいや、許してあげよ……

「……ボクも、大好きだよ、祐一くん」

耳元でそっとつぶやいてあげるとシャワーを浴びようと部屋を出てった。

シャワーを浴びて着替えてから朝ご飯作る。

いろいろあって、今はボクは祐一くんと二人で暮らしてる。ていっても名雪さんとか栞ちゃんとかがほとんど毎日来てるから二人だけで暮らしてるって感じはほとんどないんだけど……

パン焼いて〜……コーヒー淹れて……。えっと、後は……

ぱたぱたとキッチンの中を動きながら朝ご飯を作ってく。そういえば、この前祐一くんに聞いた話じゃパンはフライパンで焼くんじゃないみたい。素直に驚いてたら祐一くんが『お前バカだろ』て言ってきたのは覚えてる。うぐぅ、だって、七年も寝てたんだからしょうがないじゃない……

でも。今じゃ料理は出来るようになったんだからねっ。

ちょっとはだけど……

それに、祐一くんも料理手伝ってくれるし……

でも、たまに、料理そっちのけで祐一くん、その……

うぐぅ……思い出しちゃったよ……

でも……その、祐一くんって、このごろ……

ぽん。

「うぐぅっ!?」

思わずすくみ上がって振りかえるとあきれ顔の祐一くんが立ってた。

「おはよ、あゆ」

「あ、うん、おはよ」

「……あのさ」

「うん、なに」

「お前さ、もしかして朝飯焦がすの趣味か?」

「へ?」

言われて、キッチンの方に目をやると。

「うぐぅ――――っ!?」

焼いてた目玉焼きが真っ黒になって煙を上げてた。急いで火消したけど……うぐぅ、これじゃ炭だよ……

「うぐぅ……」

「二日に一回は失敗してるな」

後ろで祐一くんが飽きれたように言ってる。うぐぅ、ほっといてよ。

「……どうしよう」

「どうしようって、これじゃ食えねえだろ」

「うぐぅ……」

「今日の朝飯は無しかな」

「でも、パンだけなら……」

「やれやれ……」

「ごめん、祐一くん……」

「ま、いいけどな……」

洗い物が終わってリビングに行くと飽きれたように祐一くんが笑いながら言った。

「うぐぅ、でも……」

ぽふっと祐一くんのとなりに座る。

「気にすんなって」

「……うん、ごめん……」

「……やれやれ」

ぎゅっ。

「わっ……」

祐一くんに背中から抱きしめられる。くしゃっと祐一くんがボクの髪をなでてくる。気持ち良いけどちょっと恥かしい。

「俺は気にしてないから。落ちこむなって」

「うぐぅ……ボク、子供じゃないよ……」

「はっ、そういえばそうだった」

「もうっ、祐一くんっ!」

顔を赤くしながら祐一くんに叫ぶ。こう見えても、祐一くんと同じ年なんだからねっ。

「はははっ、でも、変わってないしな、お前は」

「……それって、誉めてるの? けなしてるの?」

「さー? どっちだろーな」

「うぐぅ……。なんかけなされてる気がするよ……」

「そんなことないって、誉めてる」

「……ホント?」

「多分」

「うぐぅ……。祐一くんのいじわる」

「じゃ、けなしてる」

「それじゃ逆効果だよっ!」

「うそだって、誉めてる」

からから笑いながら祐一くんが言う。もう……

「……そういえば、まだこの赤いカチューシャつけてるんだよな、あゆ」

祐一くんがボクの頭のカチューシャをなでながら言って来る。

「……うん……。だって、祐一くんからの、プレゼントだもん……」

そっとカチューシャを外して眺めながら言う。

渡せなかったプレゼント。

祐一くんと、ボクの思い出の品。

「だから、ずーっとつけてるんだよ」

「風呂に入るときは外せよ」

「言われなくても外すよ……」

くすって笑いながら言う。

「あゆ」

「なに……ん……」

祐一くんが急にキスしてきた。

「ゆっ、祐一くん……」

「いや、なんかあゆが可愛く見えて」

「か、からかわないでよっ」

「いや、からかってないって」

そう言って、もう一度キスしてくる。

「ん……。ふぁ……」

「あゆ……」

祐一くんが唇を放すとくしゃっと髪をなでてくる。

「わっ……。痛いよ、祐一くん」

「……どこにも行くなよ」

「……え?」

「……もう、この温もりは、なくしたくないんだ……」

ボクの事を抱きしめながら、祐一くんが言う。

……うん、そうだよね……

「……うんっ」

にっこりと最高の笑顔でほほ笑んで、言ってあげる。

「ボクはいつだって、ここにいるよ。ずっと、大好きな人のそばにいるからね……」

「……それに……。指輪も渡したしな」

祐一くんがボクの左手を見ながら言う。薬指じゃ、指輪が光ってる。

「……うん、約束、したからね……。新しい、約束……」

「……ああ」

「……祐一くん」

「ん?」

「……大好き、だよ」

そう言って、ちゅっと不意打ち気味にキスをしてあげる。祐一くんはしばらくぼおっとしてたかと思うと、にやりとほほ笑んで、

「……じゃ、その証でも見せてもらおうか」

「……へ?」

「それじゃ、ベッドルームにれっつごー」

「え? ちょ、ちょっと祐一くんっ! まだ昼だよ昼っ!」

「気にしないでいいぞ。俺も気にしないから」

「ボクは気にするよっ! おろして祐一くんっ!」

「却下」

一秒だった。



「うぐぅ〜〜〜〜〜〜〜」













<おわり>








どうも皆さん、東方不敗です。

あゆはやっぱり書いてて楽しいです。純粋で、よく動いて、照れがある。

ついこの前Kanonをもう一回やりましたけど、やっぱり何回見てもじーんときます。そんでもって創作意欲がわいてくる。

それでほとんど勢いでこんな小説書いちゃいましたけど、どうだったでしょうか? まだまだ文章表現などに稚拙なところが目立ちますが、楽しんでいただけたら幸いだと思います。

それでは。またお会いできたらいいなと思っています。

Writen By 東方不敗――