たまにはこんな日曜日も
Prezented By 東方不敗
『朝〜朝だよ〜朝御飯食べて学校行くよ〜』
……耳元で誰かが喋ってる……。いや、目覚ましか……
『朝〜朝だよ〜朝御飯食べて学校行くよ〜』
「……ん……今日は学校ねえだろ……」
今日は日曜日だ。学校はないのでぐっすり眠るのだ。俺はごそごそと布団から手を伸ばした。無論目覚ましを止めるためだ。
『朝〜朝だよ〜朝御飯食べて学校行くよ〜』
きいっ……
「あ、祐一くんまだ寝てる……」
べしっ!
『朝〜朝――』
よしよし静かになった……。なんか扉が開いたようなきがしたけど気のせいだろう。俺は布団を改めてかぶりなおすとと意識を深遠の彼方のふちに――
ゆさゆさ。
「ゆういちく〜〜〜ん、あさだよ〜〜」
ゆさゆさ。
「あさだよ〜〜、学校ないけど起きてよ〜〜」
…………
はて?
家にあゆの声の目覚ましなんかあったっけ?
三秒ほど考える。
結論。
そんなものは存在しない。
あゆに関しては妙に記憶力の良いこの俺。たしかあゆの奴に声入れてもらおうと思って目覚まし屋に行ったのは良いがあゆのやつが顔を真っ赤にして『そ、そんなことできるわけないよっ』ていったからしぶしぶあきらめたのを覚えているのだ。
じゃあ今聞こえてる声は……
…………
夢か?
ああそうか、夢なんだ。夢の中でまであいつの夢を見るなんて、愛してるんだなあ、おれ。
「うぐぅ、ゆういちく〜〜〜ん。はずかしいこといってないで起きてよ〜〜」
おいツッコミまで入れてきたぞ。
良くできた夢だ。これで顔が見えたらきっと顔を真っ赤にしてるんだろうなあ……
なんてことを考えながら、いつのまにか体のゆれがなくなっていることに気付く。
こいつはよかった。さあさっさとねよう……
ジリリリリリリリリリリリリリリッ!!
「うっぎゃあああああああああっ!!」
耳元でいきなり聞こえてきた大音量に思わず跳ね起きる。なんつうか鼓膜が大破したような気がした。
「あっ、おはよっ祐一くん! やっと起きてくれたんだっ!」
かちっ。
なぜか俺のベッドの横に立っていたあゆが手元の目覚ましのスイッチを切る。同時に部屋の中を支
配してた大音量が消滅。
「でも良かったよ。ホントに祐一くん起きないんだもんっ。これでダメだったら窓から放り出そうかと思ってたよ」
「……あゆ……」
「え? なに? 祐一くん?」
ごつんっ。
俺の伝説の鉄拳があゆの頭のど真ん中に直撃。
「うぐっぐぐぐぐぐううっ!?」
妙な奇声を発して部屋の中をのた打ち回るあゆ。
「な、な、なにするんだよいきなりっ!?」
「どやかましいっ! んなもん耳元で鳴らすなっ! 鼓膜が破れるかと思ったぞ」
「う、だ、だって祐一くんなにやっても起きないから……うぐぅ……」
「俺は日曜の朝は10時まで寝る主義なんだ!」
「健康に悪いよそれ……」
「やかましいっ!」
「う……そ、それで、祐一くんまだ寝るつもりなの……」
「む、それは……」
言われてしばし黙考する俺。
言ってはなんだがあゆのせいですっかり眠気が覚めてしまった。さすがに今から寝なおすってのは結構酷だろう。美汐ふうに言えば『そんな酷な事はないでしょう』て感じだ。
「いや……気が変わった。起きるわ」
「ん、わかったよっ。それじゃ、秋子さんに言って来るねっ!」
「なんだ秋子さんも起きてるのか?」
言ってからちらりと目覚まし時計を見る。今朝の8時だ。なるほど、隣でねてるぐーすか娘とは違って秋子さんなら起きてても問題ない時間だ。
「うんっ、あ、あと真琴ちゃんも起きてるよっ!」
「そっか……。わかった、そんじゃ、着替えてくから待っててくれ」
「うん、あ、あとそれと……」
「ん?」
ちゅっ。
あゆがいきなり俺の唇にキスをした。
「そ、それじゃねっ、おはよう祐一くんっ!」
顔を真っ赤にして部屋を出てくあゆ。いや、出てこうとしたところで――
がしっ。
「……え?」
俺があゆのてをがっしりとつかんだ。
「……え、えっと、祐一くん?」
そろそろと首を回転させるあゆ。なんだか驚いてるみたいだなあ。
「……気が変わった」
「……え?」
「また寝なおすわ、俺」
「そ、そう、わかった、よ……。で、その、この手……」
「なああゆ」
ぐいっと顔を近づける。あゆは狼狽した様子で、
「な、なななに祐一くん?」
「俺たちは恋人だよなあ?」
「え? そ、そんなこと……」
「そんでもって恋人なら必ずすることがあるよなあ?」
「え? そ、それって――」
「そういえば最近ご無沙汰だしな〜〜」
「ゆ、ゆゆゆういちくんっ!?」
あゆの顔が真っ赤になる。俺はずるずるとあゆを部屋の中に引っ張る。
「だ、ダメだよそんなことっ! ぼ、ボク達まだ高校生だしそんな朝から――んううっ!」
まだなにか言おうとするあゆの唇にぎゅっと俺の唇を押し付ける。しかも舌を絡める大人のキスだ。
「んっ、んんうっ! ん、んうっ……」
だんだんと、あゆの目がとろんとなってきて顔が上気してくる。俺はそっと唇を離すとそっとその小さな体を抱きしめ、
「大好きだぜ、あゆ……」
「……うぐぅ……」
「ホント、あゆは可愛いよなあ」
「だ、だって祐一くんが――んううっ!」
なにか言おうとするあゆの唇に俺はまた強いキスをした。
「ん、祐一、くん、ぅ……」
「愛してるぜ、あゆ……」
「ば、かぁ……」
「うぐぅ……」
「ごちそうさま、あゆ」
あゆと一緒に天井をながめながらつぶやく。
「うぐぅ、祐一くんのバカ……」
赤くなって俺の胸をぽふっと叩くあゆ。無論全然いたくなんかないが。
「で、なんでお前がここにいるんだ? 今更だけど」
「え? それは……あっ! そうだよっ!」
突然あゆががばあっ! と起きあがった。うむ、相変わらず無い胸だ。
「祐一くん今日ボクとデートしてくれるっていったから来たんだよっ! そしたら祐一くんまだ寝てるって言われたから起こしにこうようと思って……そしたら……うぐぅ……」 途中からさっきのことを思い出したのか真っ赤になっていくあゆ。俺はからからと笑いながら、
「それで、俺とエッチしちゃったわけだな」
「……ゆ、祐一くんがエッチだからだよ……」
真っ赤になって布団に顔を埋めるあゆ。う、可愛い……
「あゆ」
「へ?」
ぎゅっ。
「わわっ!? ゆ、祐一く……ん、んううっ……ん……うっ、ぁ……」
ぎゅっと抱きしめて、もう一度キスをする。俺は唇を離すと、
「あゆよりは俺はエッチじゃないと思うんだけどなあ……」
「う、うぐぅ、そ、そんなことないよ……」
「そっか、じゃ、そんな事ある証拠を今から見せてやろっか……?」
言ってニヤソと笑う俺。一方あゆはというとちょっと顔を赤らめると、
「ま、まだやるの祐一くん……?」
「もちろん♪」
「で、でもボク……そ、そんなことしたら腰が立たなくなっちゃうよ」
「大丈夫、そんときは家に泊めてやるから」
「そ、そういう事じゃなくて、ね、祐一くん、だ、だからその、ボクもう限界……」
「あゆ〜♪」
「ちょ、ちょっと祐一くん、ん、あぁっ、た、頼むからやめてよ〜〜〜っ!!」
あの後、あゆは本当に腰が抜けて立てなくなって我が家に一日泊まることになった。
ちなみにその日の夕御飯はなぜか俺だけ紅しょうが大盛りだった。
……名雪、なんでわかったんだ?
「……祐一、ニブちんだよ……」
まずは最初に……初めまして。久慈さん、そしてここまで読んでくださったありがた〜〜い読者の皆様。東方不敗です。
初投稿で何故か2時間で書き上げたと言うなにかと曰くつきのこの作品、らぶらぶなあゆあゆが書いてみたくて書き上げてお送りしました。書いてみてもうちょっとくっつけても良かったかな? なんて思いました。
これからもなにかと投稿などでお世話になるかもしれませんが、皆さん長い目で見守ってあげてください。
それでは、また★