名雪DE東証平均株価(おバカ編)





「ふっふっふっ。下がっているな」

 俺は呟いた。
 暗闇の中に浮かび上がるテレビ。正式名称テレビジョン。違ったかもしれないがと
にかくテレビだ。俺は食い入るようにテレビを見ている。

 しかし最後につくジョンっていうのは何の事だろうか?

 ああ、テレビ+ジョンじゃなくて、テレ+ビジョンか。

 ……テレって何だろう?

 ふと浮かび上がる疑問。が、とりあえずそんなことは横にどけておく。そんなこと
は重要ではない。そう、重要なのは株価だ。東証平均株価。普段なら無味乾燥な印象
しか持たないこの言葉も、今の俺にとっては上手くすると黄金境が見れるかもしれな
い禁断の果実に早変わり。

「……下がっている。下がっているぞぉっ!!」

 俺の名前は相沢 祐一。今年で高校三年生。毎朝のように株価のニュースに一喜一
憂するすこし変わった学生だ。

「よっしゃぁ〜っ!! 平均も下がってるぅっ」

 早朝に株式ニュースを見て、テレビの前でガッツボーズ。
 かなりヤな学生かもしれない。

 少なくとも株価が下がった銘柄に関係している人から見たら嫌な学生には違いな
かった。
 何故なら……

「……ふふふふふふふ。名雪、今日もお前の服を一枚ひん剥くっ!!」

 そんな理由で喜ばれては企業戦士も浮かばれまい。



「○泉〜っ、もっととぼけた政策をやれーっ。そこだっ、バカ大臣っ。失言をし
ろっ。そーすれば、株価が下がる。名雪が服を脱ぐんだっ。頼む、いつもみたいに
やってくれ〜。つーか、いつもだったら頼みもしないのにバカやってくれるだろぉ
おっががっあっ!!!! なんでこういう時にだけまともなことをいいがやるん
だぁっ!!」



 朝早くからの雄たけびはご近所さんに迷惑なので必要最低限に押さえる。何せ俺は
居候の身。これでも結構気を使っているのだ。
 だが、それでも怯えたような気配を感じることが出来た。
 俺の背後には、これから祭壇に捧げられるのを待つ哀れな子羊がいるのだ。

 俺はゆっくりとゆっくりと、もちろんわざと焦らすように振り返った。

 神聖なベットの上にちょこんと可愛らしく座っている子羊は、朝に弱いという特徴
を持っている。髪がかなり長かったりする。抱っこしたりすると物凄くいい感じで温
かかったりする。時々謎の鳴き声を上げて甘えてきたりもする。

 まぁ、要するに名雪だ。

 一つ屋根の下に住んでいるのだから、名雪が居てもおかしくはない。ああ、おかし
くはないさ。今が午前四時なんて時間でなければなっ。
 本来ならば起きているような時間ではない。だが現実に名雪は起きていた。そして
ベットの上でけろぴーを抱えた名雪は、

「う〜う〜う〜」

 とりあえず唸っていた。
 まったく朝早いから俺が喜びの声を上げるのを必死で我慢したというのに、この
娘っこは。
 名雪は俺のベットの上で毛布に包まるように座っている。いや、包まらざるおえな
いといった方が正確だろう。何せ下着姿なのだから。

「パトカーの物まねか?」
「違うよ。ゆーいちいじわるだよ」
「とりあえず、ブラ取るか」

「うー」

 なぜ威嚇されねばならんのだ。そういうルールなのだから。

「株価が下がったら一枚脱ぐ。上がったら一枚着る。それがルールだぞ、名雪」

 なんでそんなゲームが始まったかは覚えていない。どうやってルールを決めたかも
だ。間違いなく俺が勝手に名雪を言いくるめたんだろう。だって俺にはまったくリス
クがないのだから。
 ベットで縮こまっている名雪はすでにブラとショーツしかつけてない。けろぴー軍
曹と毛布で必死の防衛線を構築しているのが現状だ。もちろん、今日の株価の下落で
名雪の最終防衛ラインの一歩手前まで陥落することになる。つまりはブラジャーだ、
ブラザーよ。今、名雪のブラジャーが剥ぎ取られそのやわやわしたお胸が白日の下に
晒されるのだ。白日の下といっても当然見ることが許されるのは俺だけだがな。日の
光の元になんぞ晒して溜まるかいっ、もとい堪るかいっ。これは俺のもんだ。

 とりあえず、

「脱がすか」

「うーーーーーっ」

 再び、なゆなゆの威嚇音。
 多分、本人は物凄い形相のつもりなんだと思う。だけどなぁ、あれ絶対男を喜ばす
だけだぞ、間違いなく。
 俺が一歩ベットに近づく。名雪は物凄い勢いで後ろに下がる。おおっ、海老のよぉ
だ。

 ギシッ

 いやぁ、ベットの軋む音ってたまらないものがあるよな。うん。俺だけか? なん
てバカなことを考えつつ、俺は名雪の胸元に手を伸ばす―――フリをして、毛布を剥
ぎ取った。

「あっ」

 可愛い悲鳴。
 ああ、神よっ。あなたはなぜこんなにも女の子の悲鳴というものを可愛らしく作っ
たのですかっ。うれしいぜこんちくちょー。分かっているな神さんよっ。
 なんてとりあえず物凄い早口で言ってみた。もちろん心の中で。
 なにやらますます物体なゆなゆの威嚇音がうるさくなってきたようだが、俺は気に
しない。探検家は、臆する事無くそして慎重に前に進むものなのだっ。そうしなけれ
ば前人未踏の境地などにはたどり着けない。尊敬するぜ、マゼラン提督っ。

 内股ぎみに膝やら太ももやらを擦り合わせ、胸の前にはけろぴーを抱える名雪さ
ん。ああ、ちなみに靴下は脱がさないことに決めているから。もちろん、片方だけ。
 このゲームでは脱がす部分も指定できるのが醍醐味だ。初めは、いきなりショーツ
を指定しようかとも思ったのだ。普通の格好をしているのに、スカートを履いている
のに、パンツ履いてない。そんなドキドキ感が堪りませんってな感じの名雪をじっく
りたっぷりねぶりあげるように観察しようとも思ったのだが……ここは正攻法で上か
らにしたのだ。

 どうしてかって?

 決まっているだろう。一枚一枚脱がしていけるこの興奮。これはえっちの醍醐味
だっ。ああ、声を大にして言いたいね。女の子は自分で服を脱ぐなと。祐一さん的に
はストリップは邪道だ。あくまで自分の手で脱がす。これが大事なのだよ、明智君。

 そして何より重要なルールがあるのだ。
 肌が剥き出しになった部分は撫でまわしてもいいっ。

 ……ほんとに誰が考えたんだろうな。このルール。

 だからいきなり下着だけ脱がしても面白くないのだ。本丸に向かってじわじわと少
しずつ進んでいく感じがいいのだ。だから靴下を片方脱がせ、上着やらブラウスやら
脱がせて言ったのだから。
 ああ、ビバ弱腰日本経済っ。このものすんごい不況だからこそなしえた連続脱が
し。何せ名雪が服を着たのは一回だけだし。感謝しますっ。どー考えても不況は脱出
した方がいいに決まっているのだが、それはそれこれはこれ。目の前の名雪の服が脱
がせられるなら、株価の一つぐらい下がれってんだ。こんちくしょー。怒られそうだ
からこの辺でやめときます。

 ベットの上で女の子座りの名雪さん。胸の前にけろぴーを抱えて必死の構え。祐
ちゃん容赦なく電気をつけます。もちろん部屋の。
 電気つけないでっなんて抗議が聞こえますが、ベットから立ち上がってこないので
付け放題。好きなだけ電気を付けたり消したり出来ます。うむ。いじめっ子。
 そして浮かび上がる名雪さん。今までのテレビの明かりだけでぼんやりと浮かび上
がっていたのもいいけど、はっきと見えるのもこれまたいいもんです。
 必死に肌を隠そうといろいろ体を動かしてます。羞恥に染まったピンクのお肌。つ
るんつるんのすべすべお肌。肌が見えている部分は撫でまわしてもOKなので、今日
はおパンツの中以外はどこを触ってもいいのです。最高ですかー。最高です。たまら
ないと思わないかい明智君。ってさっきから明智君て誰だよ。気にしたら負けです。
負けったら負けです。そう、今気にしなければらならないのは、目の前の子羊。ただ
し憐れだとは思わない。そんなこと思っていたら男の子は出来ません。

「ね、ねぇ。もうやめようよ」

 不安感爆発といった感じのお声。今まさに襲い掛からんとしている狼にそんな声出
したりしたら火に油。嫌がれば嫌がるほど相手を喜ばしてしまうこの矛盾。ああ、神
様。あなたはなんて偉大なんでしょう。とりあえずこーゆーところだけは物凄く尊敬
しようと思います。ええ、容赦なく。他は知らんけど。

「何を言っている名雪。昨日だってなんだかんだ言って結局気持ちよさそうな声を出
していたじゃないか」

 ん? とばかりに名雪の瞳を覗き込む。ああ、俺って転生のいじめっ子。そんなん
で転生するのは嫌すぎですが。
 そう、これがあるから俺は目の前の子羊を憐れだとは思わないのだ。ブラとショー
ツだけの姿になった名雪さんの温かお肌に指を這わせた訳ですよ。昨日も。ルールに
したがって当然の如く、ブラとショーツの中には触れずに。文字通り指一本も。あ
あ、辛かったさ。おっぱい星人の祐一君としては、目の前に愛しい愛しい名雪たんの
お胸があるのに触ることが許されないのですよっ。ええ、想像して御覧なさい。据え
膳喰わぬは男の端とばかりに置いてある美味しそうな果実を見ているだけで食べられ
ない。なんという拷問でしょうか。意思の力をフル稼働してなけなしの克己心を掘り
起こし耐えましたよ。ところで男の端ってどんな立場なんだろうな?

 ともかく、下着と肌の境界線にばかり攻撃が集中してしまったのはしょうがないと
ころです。だって少しでも女の子の体の隠されたところに近づきたいでしょっ。反論
は許しませんよ。いや、反論する奴は男の子じゃないぞっ。目の前でふよふよ揺れる
胸に誘惑されて、少しでもやーらかいところに手が伸びる。それこそ太陽が東から昇
るのと同じくらい自然なことです。名雪さんは爆乳ではないので下着からぷみょんぷ
みょんした部分がはみ出していたりはしませんが、それでも3/4カップブラでした
から1/4だけお胸にタッチできました。太ももの内側のおパンツのぎりぎりのライ
ンと、露出した胸ばかり触っていたのは仕方の無いことです。

「な、なんてこというのー」

 俺の台詞に反論する名雪さん。必死のはずなのですが、どこか間延びして聞こえる
のは思い込みでしょうか。いや、思い込みにしておこう。じゃないと話が進まない
し。

「というわけでけろぴーをよこせ」
「うー、けろぴーは服じゃないもん」

 あー、名雪さん。どーしてこういちいちツボをついてきますかね。その発言服だっ
たら素直に渡すって認めたことになりますよ。反論しているつもりで自爆していくさ
まが、どうしようもなく可愛いです。ああ、ダメ人間。でも名雪と一緒ならどこまで
でもダメ人間になってやるさっ。堂々となっ。
 訳の分からない決意を胸に秘め、なゆなゆに迫る祐一君。自分で祐一君などと言う
と変だが、ちょっと新鮮味があっていいかもしんない。恥ずかしそうに肌の露出を最
低限に抑えようと怪人だおーが蠢きます。そんなもん見せられた日にはあんた、物が
まともに考えられるか。いや、考えられない(反語)ってな気分ですよ。さっきから
思考が横道に逸れるのは、そうしてないと落ち着かないからです、はい。

 わがままをいう名雪姫からけろぴー王子を取り去るために、俺は名雪の背後を取
る。現在機動力が激減している名雪の背中を取るのなど造作もないこどなのだ。ザク
とは違うのだよ、ザクとは。

 つかね。
 絶対名雪さん嫌がってない。ホントに嫌ならこんな早朝にわざわざ俺の部屋まで来
なくてもいいのだから。なんて都合のいいことを考えつつ、とりあえずわき腹をくす
ぐってみる。

「やだっ、祐一、んぅっ」

 身をよじるまくる名雪さん。けろぴー絶対防衛線を確保し様とすると、手でくすぐ
り攻撃を阻止できないのだっ。

「あははははははっははははははははっ、やだやだっ、やめてゆーいちぃ」

 約15秒ほどで最終防御ライン一歩手前(命名、祐一)が陥落。
 名雪の手から離れたけろぴーは、ベットの下に放り投げられました。

「いじわるだよ、祐一」

 うーむ。くすぐりというのは絶対的な効果があります。誰でも出来る拷問だという
のも頷ける。笑いすぎで涙目になった名雪さんが愛しいです。背中から名雪を抱っこ
するようなこの格好。肩越しに振り返った名雪の目尻にはほんのり涙が溜まっていま
す。

「ね。するならするでそれでいいから、ちゃんとしようよ」

 少しだけ体重を預けてくる名雪さん。ちょっぴりいい雰囲気です。

「……なんか祐一の、すごいことになってるみたいだし」

 ああ、雰囲気ぶち壊しでス。
 名雪のお尻というか腰というか、そのあたりに思いっきりアレを突き立てている俺
が悪いんですけど。

「えっちくなったなぁ。名雪」
「しみじみ言わないでよ。祐一のせいだもん」
「あーダメだな。人のせいにしちゃ」

 こんな訳の分からんプレイに本気で抵抗しない時点でかなり終わっていると思うん
ですよ。お互いに。

 唇を尖らせた名雪さん。うむ、可愛い。むしろ、かぁいい。何が違うのかは己の男
小宇宙に問いかけよ。多分、答えが出る。いや、むしろ容赦なく出るはずだ。

 ほんの少しだけ濡れたように見える名雪さんの唇にターゲットロックオン。

「んっ!!」

 驚いたような名雪の声が耳に届く。
 だが俺の意識はイチゴを食べる為に生まれてきたような、なゆなゆの唇に集中して
いた。

 ああ、柔らかい。柔らかいよおかーさん。
 この世に生んでくれてありがとぉ。
 とりあえずおバカなことを考えておく。

 ……気持ちいいのを優先していたら、俺が生まれたんかな?

 人体の神秘。とってもよくデキテイルと思います。
 一瞬、名雪との間に子供が欲しいなんて思ったりしたのは、君とボクだけのナイ
ショだ。本当に一瞬だけだからな。
 しかし今日はこそまで出来ない。真のおんにゃのこ絶対防衛ラインは今日は超えら
れない。おパンツは脱がせられないのだよ、ルールだからな。

 キスをしながら、俺の手は勝手に動き出す。名雪の腕が抵抗するが、すでに弱々し
い。多分、名雪は俺が普通にえっちすると思っているのだろう。
 だが、しかしっ。ルールは守らないとゲームは面白くないのだよ。おんなのこの魅
惑の三角デルタを今日は拝めない。そう、それは決まりなのだ。血涙を流し、駄々を
こね、地面を転がろうともルールはルールなのだ。

 それを忘れるかのように体中を撫でまわす。
 わき腹から始まって、お胸やおなか、腰、そして太もも。手の届く範囲にはすべて
手を伸ばす。ああ浮気者なお手々。

「んっ、んふっ」

 鼻から抜けるような微かな声。名雪の音声兵器。ああ、女は怖い。文字通り体中、
対男性用兵器が満載だ。

 ピンク色に染まる肌も。
 艶やかな髪も。
 温かな体温も。
 甘い香りも。
 涙に潤む瞳も。
 しまったウエストも。
 まろやかなヒップも。
 そして柔らかな双丘も。

 いちいち男の性欲を刺激するように出来ている。声だってしかり。仕草だってしか
り。
 俺を魅惑してやまない胸を満足行くまで蹂躙する。
 俺の膝の上といっていい場所で名雪が身体を震わせる。太ももを落ち着きなく擦り
合わせ、何かに耐えるように。
 そしてわざとおしりを押し付けてくる。俺のモノに。

「ほんとにえっちくなったな」
「ぅんっ、ゆーいちが悪いんだからぁ」

 甘えるように、そしてどこか言い訳するように名雪が呟く。だが、それでも決して
押し付けてくるのをやめなかった。
 それに答えるように、俺は名雪の太ももの間に手を差し入れる。
 ぴくんと反応し、俺の手を挟み込む名雪。俺は決して下着には触れない。太ももの
内側と、足の付け根。その辺りにばかり指を這わす。名雪を背中から抱きかかえ、左
手で胸を弄び、右手をお股の付近で遊ばせる。そんな体勢になってからどのくらい
立っただろうか。恐らくたいした時間は過ぎてはいないと思う。
 名雪が何事かを言いたげに俺の瞳を覗き込むと、ふいっと視線を反らす。そして、
おずおずと、本当におずおずといった感じで。

 ほんの少し。
 ほんの少しだけ。

 足が広げられた。

 今まで擦り合わせられるだけだった太ももの間に隙間ができている。あわせられて
いた膝は、確かに広がっていた。

 名雪の無言のアピールだ。もっとちゃんと触って欲しいという。普段だったら一も
二もなく答えただろう。
 駄菓子菓子。もとい、だがしかし、それはルール違反だ。目に見える部分にしか触
れない。それがルール。俺が勝手に決めたルールだ。やはりそれは守らないと面白く
ない。
 いじわるく聞く。

「どうした?」
「どうした、じゃないよ。いじわる」

 本来だったらずっと太ももを擦り合せていたいのだろう。落ち着かなく揺れる名雪
の腰が扇情的だ。

「ねぇ……その……ちゃんとして」
「エッチ」
「うー。祐一がいけないんだよ。毎日毎日触ってくれるのに肝心なところに触れてく
れないんだもん」
「そっか。欲求不満だったのか名雪は」

 きゅっ

 突然、後ろ手に俺のモノが握られ、そして撫で擦るように愛撫が施される。

「バカ。ゆーいち嫌い」

 そう言ってするりと俺の腕の中を抜け出す名雪。名雪の愛撫は一瞬で終わってし
まった。
 ベットの上で向かい合うように座り合い、

「こ、こんなことするのなんて、一回だけなんだからね」

 真っ赤な顔をして名雪が言う。

 目の前で正座を崩したような、女の子座りをしていた名雪が膝を立て始め
て、そしてゆっくりと足が開かれていく。俺から見るとちょうどMの字を形作る感じ
だ。

「祐一。お願いだからちゃんとして」

 俺の視線が行くのはもちろん一ヶ所だけ。
 そこはもう充分に潤っているのか、中身が透けて見えそうだ。ぺっちゃりと恥丘に
張り付いてしまっているショーツ。俺は吸い寄せられるようにそこに顔を寄せる。

「名雪、すごいことになってるな」
「祐一のには負けるよ」

 必死の反撃。だが、声が掠れていれば逆効果だ。

「もしかしてずっと濡らしてたのか」
「ゆーいちが放っておくから悪いんだよ。何日待ったと思ってるの?」

 いつもの声とは随分違う。どこか絡み付くような甘い声。名雪にもこんな声が出せ
るのかと思うとちょっと感動してしまう。

「したのは一週間ぐらい前だっけ?」
「10日前」

 拗ねたような声。

「祐一がヘンなことを始めたのが一週間前」

 不意に、頬を挟まれる。
 挟んできたのはもちろん名雪の両手。

「ねぇ。祐一。切なかったんだよ。ずっと待ってたんだよ。なのにいつもいじわるす
るだけで、ちゃんと触ってくれないんだもん」
「もしかして一人でしてたか?」
「してたよっ。毎日してたよっ。ゆーいちがいけないんだからぁ」

 むにっと、ほっぺたがつねられる。
 痛くは無い。むしろ力がまったく入っていないせいでくすぐったいくらいだ。

「あと一回株価が下がれば、すっぽんぽんだ。そうなればルール上も問題ないぞ。最
後までしても」
「そんなの祐一が勝手に言っているだけだよ。それに……」

 再び、名雪の手が俺の股間に伸びてくる。

「祐一だってこんなになっているんだよ。つらくないの?」

 だから……ねっ、といわんばかりに上目遣い。
 だかしかし、自分で決めたルールを破るのは面白くない。俺がそんなことを考えて
いるとそれが伝わったのか、名雪がぴっと一本指を立てる。俺の顔の前に。そしてそ
の指を俺が見ているのを確認すると、ゆっくりと足の付け根に近づけていく。
 何をするつもりなのだろうと思っていると、唐突にショーツの横から中に指を差し
込んだ。

 そして。
 伸縮性に富むランジェリーが横にずらされた。

「……ね。これでどう? 下着に隠されていないんだから触ってくれるんだよね」

 顔を真っ赤にして―――それこそ見ていて気の毒なほどに―――だけど決して視線
を逸らさず、名雪は俺を見つめてきた。
 M字開脚で、自ら下着をずらして全てを晒す少女。

 名雪のキャラじゃない。
 キャラではなかったが。

 俺の中で何かが切れた。
 名雪にここまでやらせて引き下がるわけにはいかない。

「なゆき〜」
「あんっ」

 飛び掛る俺。
 台詞の周りに、はーとまーくが乱舞していそうな名雪の嬌声。

 さすがに初めてでいきなりワンワンだっただけのことはある。どーにもこーにも子
供っぽいところがある名雪だが、やっぱりちゃんと女なのだ。いざとなればバカみた
いに色っぽい。

 上から押すだけでもどろどろと愛液が染み出しそうな下着を押してやる。割れ目が
始まっている辺り、女の子の一番敏感なところ。

「ふあぁぁぁ」

 感極まったような鳴き声。

「ねぇ、祐一っ。早く脱がしてよ」
「いや、ずらしとけ。そのまま挿れるから」
「うぅうう、恥ずかしいよそれ」
「ルールはルールなのだよ、名雪君」
「いぢわるなんだから」

 名雪がもう一度自分の指でずらす。それを横目に俺もパンツを脱ぐ。
 照明の下にされされた名雪のそれはすでに濡れそぼっていて、物欲しげにひくつい
ている。

「名雪、準備はもういいのか?」
「へーきだよ。だから早くっ」

 まったく余裕のない名雪。それは俺も同じだ。だから躊躇せず俺は一気に名雪を貫
い―――



「ダウ平均は昨日より3%上昇。それに牽引される形で東証平均も上昇。薄商いで小
幅な値動きでしたが、これは回復傾向と見てもよろしいんでしょうか。東証アローズ
の水島さんに聞いてみたいと思います。東証アローズの水島さん」

 消されないまま流れていたニュースの声が部屋に響く。





「……また明日だな」
「幾らなんでもそれは酷いと思うよ、ゆーいち」
「名雪がずっと裸でいられるようなら毎日出来るけどな。そーなると日本経済沈没か
な?」
「祐一、最近物凄くおばかさんになっている気がするよ」
「そーかも」





 株価。
 それは誰の思い通りにもならない魔物。





 続かない。