第3話 サッチーのセカンドチルドレン

 

ある日の夕方、水瀬家リビング・・・ 祐一、あゆ、真琴がテレビを見ている。

「祐一。」

真琴が寝転がったまま祐一に話し掛ける。

「何だ、真琴?」」

「真琴に友達を紹介してくれるってのはどうなったの?」

祐一は少し(0.3秒)考えて言う。

「・・・。おい、あゆ。オマエ明日から真琴の親友だ。いいな。」

「・・・くー。」

ぽかっ

「オマエは名雪か!」

「うぐぅ・・・。ひどいよ、祐一くん。」

「ちょうどいいだろうが、オマエ友達いないし。」

凍りつくあゆ。

「い、いるよ!友達ぐらい!!」

「・・・(ぶんぶん)。」

無言で首を振る祐一。

「ただいまー。あれ、みんなここにいたんだ。」

そこにちょうど名雪が部活動を終えて帰って来た。

「あ、名雪さん。ちょうどよかった。ボクたち友達だよね!」

「え・・・。」

「トモダチダヨネ!!」

突然あゆに迫られて戸惑う名雪。そんな名雪にあゆは尋常ならざる形相でさらに詰め寄る。

「そ、そうだ。香里に電話しなきゃ!」

名雪は急いでその場から逃げ出す。

「ほらな。名雪はオマエの友達ではないと言ってるぞ。」

祐一はあゆの頭にがしっと手を置いて言う。

「な・・・。祐一くんだって友達いないじゃない!」

「祐一、佐祐理さんから電話だよー。」

またも名雪がいいところで登場して祐一に電話が掛かってきたことを告げる。

「そういうことだ、あゆ。」

「うぐぅ・・・。」

 

「まあ、あゆ。案外ひとりでも生きていけるものだぞ。」

電話し終わった祐一があゆに言う。

「・・・・・・。」

「オレって友達多いしって言うヤツの方がよっぽど信用できん。」

そこで突然あゆは立ち上がり、

「ボクだって友達ぐらい作れるもん!祐一くんにもらった人形で奇跡起こして友達作ってやる!!」

と言って外に走り出す。

「ま、待て!あゆ!」

祐一はすぐに追いかけたが、あゆを見失ってしまった。

「くそ、いったいどこに行ったのだ?」

かーん かーん かーん かーん・・・

「ボクに友達が出来ますように!!」

あゆはワラ人形に釘を打ち付けている。

「う・・・。あゆ・・・。」

出来ますように!!出来ますように!!

「それで起こせるのは奇跡ではなく呪いだ!!第一オレがやった人形はワラ人形ではない!!」

 

翌日の昼・・・

祐一は佐祐理さんや舞と昼食をとるためにいつもの踊り場に向かうと2人はもう昼食を始めていた。

「佐祐理さん、舞。オレも一緒にたべていいか?」

「あー、祐一さん。いいですよー。祐一さんも佐祐理のお弁当たべてくださいねー。」

「・・・(こくこく)。」

「おう。いいぞ、相沢。」

いつもと違うのがいる。

「何でオマエがいるんだ、北川?」

「ははは、何で?ですと。先日FAしたところ佐祐理殿に受け入れられたのです。」

すでにスイッチの入っている北川がテンパリながら祐一に言う。

「あははー、そうなんですよー。」

「・・・(こくこく)。」

「エ、FAってもしや・・・北川・・・オマエ・・・」

なぜか祐一は冷たい汗を流している。

「ケニーという御仁が現れて代理人交渉してくださった結果こうなったのです。」

「ケ、ケニー・・・。」

祐一はなにかにおびえているようだ。

「祐一さんはケニーさんをご存知なのですか?」

祐一は少し(0.3秒)ためらった後答える。

「ケニーとは元天才塾代理人育成コースでともに学んだ仲です。」

「はぇー、じゃあ祐一さんのお友達なんですね。」

「しかしヤツは天才塾が崩壊した後に代理人になり、契約の際あまりにも不当なインセンティブ契約を結ばさせ

 何人もの被害者を出しているのです・・・・」

少し間をあけて祐一は続ける。

「北川、オマエ契約書ちゃんと読んだのか?」

「え?いや・・」

「おろかな・・・。どれほどの人間が安易な契約で苦汁をなめさせられたことか。」

 例@近鉄に入団してくれたら土地をやる → スカウトの口約束

   Aダイエーに入団してくれたらローソンの株やる → ダイエー、ローソンを手放す。  

   Bオリックスに入団してくれたら背番号51やる → ピッチャー失格、野手転向通告。これは未遂に終わる。

「佐祐理さん。北川との契約の際、どのような条件をつけましたか?」

「ええっとですねぇ・・・。佐祐理が新しい料理に挑戦したときに献体になる、舞が新しい武器を手に入れたら

 率先して試し斬りされる、以上です。」

佐祐理さんはどこからか契約書を取り出して答える。

「あははー。そういえば舞、新しい武器手に入れたんですよねー。」

「・・・(こくこく)。」

すちゃっ

二人のやりとりを聞いて青ざめる北川。

「そんなこと聞いてませんぞ!聞いてませんぞ!!」

どがっ!

「あきらめろ、北川!契約書に書いてあることは絶対なのだ!!」

しかし、殴られても北川も止まらない。

ぬあああああああ!!

「・・・煩わしい。」

ずばっ!

「舞、いきなり人を斬るんじゃない!って今度はなんだ!?」

「・・・エルザーレの鎌。」

「舞・・・、それはどこで手に入れたんだ・・・?」

「・・・佐祐理がくれた。」

舞が佐祐理さんを指差して言う。

「佐祐理さんはどこで手に入れたんですか!!」

「佐祐理のお父様が作ってくれたんですよー。佐祐理のお父様は偉い人ですから。」

「う・・・(ずーん)。」

深みのある表情になる祐一。これ以上は聞いてはいけないと気づいたようだ。

「・・・ところで北川はどうしますか?」

北川は舞の一撃ですでに絶命している。

「大丈夫ですよ、祐一さん。北川さんはまだ死んでいませんよ。」

「・・・(こくこく)。」

「えっ、でも・・・。ひぃいいい!?」

二人の方を見た祐一がその異変に気づく。

まだ死んでいないのです。本当に死んでいないのです。

・・・死んでいないのです。

「うわああああああ!!」

ついに祐一は耐え切れずに逃げ出した。

マダ生キテイルノデス。マダ生キテイルノデス。」

ずばっ ざくっ

・・・生キテルノデス。・・・生キテルノデス。

どがっ げしっ

 

また、ほぼ同時刻の商店街・・・

「うぐぅ・・・。ボクだって友達ほしいよ・・・。」

あゆが一人で歩いている。

「それならFAしてみませんか?受け入れ先さえどうにかなれば、そんなものすぐ見つかりますよ。」

突然ひとりの男が現れてあゆに話し掛ける。

「え、本当?友達が見つかるの!?」

「ええ。FA宣言さえしていただければ、わたしが代理人となってあなたの代わりに交渉をして、あなたの受け入れ先

 をみつけてあげますよ。失礼・・・、これがわたしの名刺です。」

名刺にはケニー・モムラと書いてある。

「うん、ボクFA宣言するよ。だから、ケニーさんが代理人になって!」

「わかりました。それではコミッショナーに連絡をいれて受け入れ先がでてくるか待ちましょう。」

 

・・・数時間後・・・

「残念ですが、あなたの受け入れ先は見つかりませんでした。」

ケニーがあゆにそう伝える。

「ええっ、じゃボクどうなるの!?」

「残念ですが・・・、自由契約ということになります。」

「それって・・・」

あゆがおそるおそる尋ねてみる。

「ひらたく言うとクビということです。というわけでさっそく消えてもらいます。」

「い、嫌だよ!ボクまだしたいことあるもん!!」

「もう無理です。あなたの製造元に電話しました。」

ききーっ!

黒い車が猛スピードで来てあゆの前で止まる。車の横には「倉田マシーナリー」と書かれている。

「また、オマエか!」

黒服の男が4人降りてきて、そのうちのひとりがあゆを見て言う。

「さあ、はやく来るんだ!」

「手間を取らすな!」

4人はあゆを車に連れ込もうとする。

・・・神父さんが・・・、黒い神父さんが、ボクを!

「おい、またこいつ壊れたぞ!」

「いいから、はやくするぞ!」

ぬあああああ!殺られる前に殺ってやる!!

ざくっ! どばぁっ!

「うわああぁああ!こいつ、殺りやがった!!」

「本部に応援を! ・・・うぐああぁぁっ!!」

ざしゅう! ずばっ! ぶちっ!

コノ異教徒メ、異教徒メ!ボクガ葬ッテ殺ル!!

 

その日の晩、水瀬家にて・・・

祐一は居間で雑誌を読んでいる。そこにテレビのニュースが流れる。

「・・・本日の正午頃、北海道内にある県立高校でその高校に通う生徒が惨殺されるという事件がおきました。

 現場となった高校は、〜市の・・・。」

「ん。なんだ、近くじゃないか。」

祐一はそのニュースに耳を傾ける。

「・・・なお、遺体の損傷が激しくてわからなかった被害者の名前は目撃者の情報から2年生の北川潤くん

 と判明しました・・・」

「き、北川っ!?なら犯人はあの2人なのでは・・・・。」

「なおこれは事件の目撃者の証言です。

 『佐祐理と舞が歩いていると黒い帽子とジャンパーを着てサングラスをかけたちょっと太目の40代ぐらいの方が

  前から歩いてきて、突然刃物のようなもので北川さんに襲い掛かったんです!そうですよねー、舞?』

 『・・・(こくこく)・』

 それから道警の発表によりますと現場付近に大型の鎌のようなものが落ちていたそうです・・・・」

「う・・・、あの二人・・・。」

今までになく深く沈む祐一。

「・・・また新しい事件が報道センターの方に入ってきた模様です。報道センターの木村さん?」

「はい、木村です。先ほどの事件のあった高校と同じ地区で今度は無差別殺人が起きました。現場は〜市の

 中心にある商店街で被害者は全員で9人。ひとりを除いて全員が「倉田マシーナリー」の社員だそうです・・・」

「随分と物騒な街になったもんだな、ここも。」

今度の事件は犯人がわかっていないので祐一は真剣に聞いてみる。

「・・・なお目撃者によりますと、犯人は羽のついたリュックを背負い、黄色のダッフルコートをきた小学生ぐらいの

 女の子とのことです・・・」

「ははは、あゆみたいなヤツじゃないか。 ・・・・・・。 まさか・・・な・・・。」

一瞬嫌な予感が祐一の頭をおそうが、祐一はそれを否定する。

ぴんぽーん

「ん、だれか来たのか。」

祐一は急いで玄関に向かう。そしてドアを開けてみる。

「なんだ、あゆか。 ・・・・ってなんだ!その血は!?」

そこには、あゆが血まみれで立っていた。

トーモーダーチー、タークーサーンー・・・・・。

「わっ、やめろ!あゆ!!うわあああぁぁぁぁああああ・・・・・・・・・・・・・・。」

 

数分後・・・

「帰りましたー。あ、あゆちゃんも来てる。」

部活動を終え帰ってきた名雪が玄関の靴をみて気づいた。

「祐一、あゆちゃん来てるんでしょー。って、あれ?どこだろう、祐一の部屋かな?」

名雪は祐一の部屋に向かう。すると中からあゆの声だけが聞こえてくる。

「2人ともここにいたんだねー。」

そう言って名雪が祐一の部屋に入ると、

トーモーダーチー、タークーサーンー・・・・・。

あゆが祐一の体で(自主規制)していた。

「あ・・・あゆちゃん!」

ぎぬろ!あゆの頭だけが後ろに回転し名雪を見る。

「ひいいぃいいぃいい!!」

 

トーモーダーチー、タークーサーンー・・・・・。」

 

 

何事もなかったかのように次に続く・・・

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