このSSは作者の体験談を元に作成されてはいますが、勿論の事、『WHITEALUBAM』の二次創作です。
ネタばれは無いに等しいですが、ゲームをやっていただいてからの方がよりお楽しみ頂ける事、間違い無しです。
尚、苦情、お問い合わせ、感想、叱咤、激励等は管理人さんでは無く作者まで。

 

 

 

 

 

 

くじういんぐ!!70000Hit記念

『頑張れ受験生〜冬弥の場合〜』

〜泊まる時と会場での過ごし方〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「会場の下見も終わったな……」

 

 大学受験。

 全国の高校生の大部分が直面する一つのイベント。

 就職したり、専門学校に行く友達もいたが、大学受験をあきらめるわけにはいかなかった。

 

「由綺はもう受かってるもんな……」

 

 どうしてもこの大学に行きたい。

 そう、由綺が言っていたのは、ここに美咲さんが通っているから……。

 そして、先に受かっていた由綺と、同じ所に居たかったから受かりたい……。

 

 

「ずいぶんと不純な動機だよな……」

 

 ついつい苦笑していた。

 高校の進路相談では、自分の将来を見据えてやりたいことができる進路を選べと言われているんだけどね。

 

「不純なんだ」

「ああ……不純だよ……っていたのか、はるかっ!!」

「うん」

「……いつから?」

「冬弥が下見してた頃から」

「おいおい……声かけるとかなんかあるだろ」

「ん……」

 

 小首をかしげるはるか。

 

「かければ良かった」

「こ、このマイペース野郎が……」

 

 けど、はるかに会ったら急に緊張がほぐれたような気がする。

 そう言えば高校の先生も言ってたっけ……。

 試験ではいつもどうりに落ちつくのが大事だって……。

 10年以上も隣にあった笑顔がすぐそこにある。

 いつもの時間が流れる。

 だから落ちつけたのかもしれないな……。

 

「はるか……ありがとな」

「ん……」

「……」

「なんで?」

「なんでもいいさ」

「ん……」

 

 なんだか、明日の試験も上手くいくような気がする。

 

「そういや、はるかも泊まってる所いっしょだよな、そろそろ行こう」

 

 なんとなく、自分が一人じゃないということが……安心感を与えてくれる。

 まあ、高校の先生も知っている友達と一緒に受験というのはそれほど悪くないとは言っていた。

 ……合格発表だけは一緒に行くんじゃないぞ、と笑いながらつけくわえてはいたが……。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、最後の勉強できる時間だ……やりますか」

 

 ホテルに戻った時間が午後3時。 

 食事の時間が6時という話だから、それまで3時間は勉強できる。

 赤本でも開いて勉強してようかな……。

 ちょうどやっていない所があったし……。

 

 コンコン……。

 ん? 誰か来たのか?

 

「は〜いっ……なんだ、はるかじゃないか……」

「ん……」

「どうしたんだ?」

「勉強しようと思って……」

「へっ、一緒に勉強しようって? まあ、いいか」

「ん」

 

 そんな訳で、はるかが部屋に入ってくる。

 

「ちょっと待て、何故トランプを広げてるんだっ」

「一人じゃできないから……」

「あのなあ……まったく、しょうがないな」

 

 仕方なく、トランプにつきあうことにした。

 どういう訳か神経衰弱。

 どうでも良かったはずだが、ついつい白熱していた。

 ちょうど30分ほど経った頃……。

 

「じゃあ、国語」

「へっ? あ、ああ、勉強するのな」

 

 ごそごそ……。

 そう言って、はるかが自分のバッグを開け、中から何か取り出そうとしていた。

 

「何、出してんだ?」

「この間の模試」

「ああ、あれか……そういや、これの古文の問題が解けなかったっけ」

「ん」

 

 ということで、はるかにみっちりと教えられた。

 普段抜けてるようでも、はるかはかなり成績がいいからな……。

 この大学よりもっと高いレベルの大学だって行けるだろうと思うのだが……。

 

「この辺がどうしてこうなるのか分からないんだが……」

「教科書持ってる?」

「えっ、ああ、持ってきてるけど……」

「この辺と考え方は同じ」

「へっ? ……あっ、なるほど、そういうことだったのか」

 

 そうして、1時間勉強した。

 

「おいおい、またトランプなのか?」

「今度はババ抜き」

 

 30分、みっちり遊ぶ。

 どういうわけだか、やたらはるかが強くて、全然勝てやしない。

 

「な、何故勝てないんだ〜っ!!」

「冬弥顔にでるから……」

「えっ、本当?」

「本当」

 

 そうして、今度ははるかが英語の模試を取り出す。

 

「えっ、単語とかを覚えた方が良くないか?」

「英作文とかの例題を覚えた方が良い」

「そういうもんなの?」

 

 ということで、分からなかった物をみっちり教わった。

 文型がどうとか、このthatがどこを表すのか、とか……。

 ひたすら復習した。

 

「そういや、はるか」

「ん」

「おまえ、自分の勉強はいいのか?」

「こうしてるのも勉強」

「そんなもんか」

 

 そうこうして、一時間経過した。

 

「ふう……ちょうど集中力の切れた辺りで飯の時間というのはありがたい」

「ん」

「じゃ、行こうか」

 

 旅行会社の受験生パックというコースを選んでたので、夕食は普通についてくる。

 ここは、ホテルの1階にあるレストランで食事をするようになっていた。

 ちなみに、料理は四種類ぐらいから選べるようになっていた。

 どうせ、金は払っているのだからできる限り高そうなものを頼もう……などと考えてみる。

 

「ハンバーグ、ステーキ、エビフライ、ビーフシチューか……一番高そうなのは……ステーキか?」

「消化に悪いよ」

「えっ……じゃあ、ハンバーグとかの方がいいのかな……」

「ん」

 

 まあ、何から何まではるかに決められるのも嫌なので、ビーフシチューを選んでみた。

 ちなみにはるかはハンバーグ。

 味はそれなりで、可もなく不可もなくというところだろうか……。 

 差し向かいでの食事。

 なんだかやけにはるかが嬉しそうだった。

 

「なんか、良い事あったのか?」

「ん」

 

 まあ、食事時くらいはゆっくりしよう。

 そう思ってゆっくりと食事した。

 メニューはさっき選んだ一品と、パンorライス、サラダ、食後にコーヒーor紅茶という組み合わせ。

 二人ともライスとコーヒーを頼んでおいた。

 

「はるか、お前、砂糖とミルクそれじゃ足りなそうだな」

「ん」

 

 まあ、お定まりのパターンと言う奴で、普段スポーツドリンクのはるかは、砂糖が多めじゃないと飲めない。

 

「無理するなよ、俺の分をやるから」

「ん」

 

 で、こっちはというと砂糖をコーヒーに入れてどうするというブラック党。

 

「そういや、由綺にも砂糖やミルク持ってかれるんだよな……」

「……」

 

 ぐい。

 

「おい」

「……苦い……」

 

 どういう訳か、俺が由綺の話をしたとたん、ブラックで飲み出すはるか。

 気のせいかさっきより不機嫌になってるような……何故?

 何か怒らせるような事したか?

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで食事も終わり、さあ、食後の勉強っと……。

 

「食後は少し休憩」

「へっ?」

「能率が悪い」

「はあ……そういうもんか」

 

 ということでゆっくりとくつろいだ。

 はるかの話だと、本来食後2時間くらいは休憩するのがベストなそうな。

 なるほどね……道理で昼の授業は眠くなるわけだ。

 

「じゃあ、勉強を再開しようか」

「ん」

 

 午後8時。

 勉強再開。

 国語と英語をすでにやっているので、世界史に手をつける。

 

「ってまた模試か……」

「ん」

 

 世界史は比較的得意科目なので、何の問題もなく復習が終わる。

 

「じゃあ、また」

「トランプかよ……なんだか今日はやけにトランプばっかりやってる気が……」

「じゃあ、UNO」

「ほとんど変わらないじゃないか」

 

 ということで結局雑談で時間が過ぎてしまった。

 いい休憩にはなったが……どうでもいいけど、こんなに休憩ばっかりで大丈夫なんだろうか?

 

「じゃあ、日本史」

「ああ……やっぱり模試の問題なんだな」

「これがベスト」

「そうなの?」

「ん」

 

 ということでまた一時間。

 日本史も覚える事が多いのは確かだが、資料をいかに読み取るかという思考力も問われる。

 結局、考え方をはるかに教わるだけだった。

 

「じゃあ、勉強おしまい」

「おいおい、まだ早いだろう」

 

 はるかとの勉強を終えたのは午後10時30分。

 勉強を終えるにはかなり早いだろうと思われる時間だった。

 

「お風呂に入って、さっさと寝る」

「早過ぎだって」

「明日早く起きて勉強すれば良い」

 

 はるかによれば、試験の数時間前には目が覚めている事が必須なのだそうだ。

 そう言えば、そんな事を言われた気もするな……と思い、素直に従う事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、朝。

 少し早めに起きて、今日のことを確認。

 ついでにシャワーも浴びて目覚めをすっきりさせる。

 

 さて、朝ご飯を食べに行くか……。

 という所で、部屋を出たらはるかに会った。

 

「おはよう、はるか」

「おはよう」

「どうでも良いけど珍しいよな……いつもは遅刻してるのに」

「早く寝たから」

 

 はるかがこんなに早く起きてるのを見たのは中学以来のような気がするが……。

 その辺りは本人にも自覚はあるらしい。

 そっぽを向いていた。

 

 

 

 

 

 

 その後は何事もなく試験会場へ。

 で、試験会場だが……。

 

「暑い……」

 

 暖房が効きすぎていて暑かった。

 上着を脱いでそれでも暑いという……。

 寒いよりは良いか……。

 そんな事を思いながら試験が開始された。

 

 

「筆記用具を置いてください」

 

 ふう、とりあえず、午前中の試験は終わったと……。

 それにしても昨日勉強した事がこんなに出てくるとは……おかげでかなり楽な試験になった。

 にしても暑い。

 喉が乾くが自動販売機には同じ事を考えた人間が多数群がっていて近づけそうに無い。

 こんな事なら飲み物を買っておくんだった……。

 

「冬弥」

「ん? ああ、はるか……」

「はい」

「えっ、あ、スポーツドリンク……いつのまに買ってたんだ?」

「ホテルで」

「そっか……ありがと」

「ん」

 

 少しぬるくなってはいたが、美味しかった。

 こんなにスポーツドリンクが美味しいと思うのも久しぶりだ。

 

「冬弥、頑張ろう」

「そうだな、後は午後の試験だけだし」

「ん」

「受からなきゃ由綺とも一緒に通えないしな」

「……ん」

 

 

 

 

 そうこうしているうちに、午後の試験が始まる。

 しかも、いつもより勘が冴え渡って答えがすらすら出てくる。

 久しぶりに、大きな手応えを感じた。

 はるかのおかげかな……。

 

 そんな風に思った。

 

 

 

 

 こうして、俺は無事、由綺と同じ大学に通う事ができたのだった。

 ただ、試験終了後にはるかに会ったとき複雑そうな表情を浮かべていたのが気にはなったが……。

 

 

「はるか、なんかあったのか?」

「……冬弥」

「ん?」

「受かったら由綺と一緒だね」

「ああ、そうだな」

「良かったね」

「ああ、お前のおかげだよ、ありがとな」

「ん」

「後は、彰も推薦で受かってたからみんな一緒だな」

「……冬弥と離れるよりは良いから……」

「ん? なんか言ったか?」

「……ん?」

 

 小首をかしげるはるか。

 俺にはいつものはるかのように見えた。

 

「行こう」

「えっ、あ、ああ」

 

 はるかが笑う。

 長年ずっと一緒だったはるか。

 だからその笑いがいつもと違う事になんとなく気づいた。

 でも、理由は分からなかった。

 

 

 

 

 

 そして、数年後にその理由について思い当たるのだった……。

(終わり)