「悲しいすれちがい-side step1-」

(注)先に「悲しいすれ違い-step3-」をお読みください。
   はっきり言ってこのSSはおまけみたいな物なので、
   読んでないとまったく面白くありません。


千鶴「うふふふふふふふふふふふふふふ……」

 しゃりっ、しゃりっ。

 軽快なテンポで包丁が研がれてゆく。

千鶴「待っててくださいね、耕一さん……」

 口調と行動を見るに、何を料理しようとしてるのかは一目瞭然だった。



 その頃……会長室の前……。

 社長以下、数名の社員が様子を覗き見ていた。

社員A「しゃ、社長……」

足立「いいか、我々は何も見なかった、そうだな」

社員B「は、はいいい」

足立(すまん、耕一君、ちーちゃんがああなったら我々には止められない)

 罪悪感が足立を包む。

 彼は耕一が生き延びられることを、一心不乱に、知る限りの神仏に祈った。


 その頃の耕一は……。

梓「耕一……」

 梓に抱き付かれて鼻の下を伸ばしてたりする。

耕一(おお、胸が、胸が当たってるよ、こんちくしょう!!)

 もちろん、この先に起きることを知る由も無い。


社員C「社長! 会長が、会長が……」

足立「会長はご気分がすぐれず早退したのだ! 今見たモノは錯覚だ!!」

社員D「は、はいい」

足立「うう……また胃が……」

 そろそろ、五度目の胃潰瘍で入院する日も近いやも知れぬ、
足立はそんな風に思うのだった。

(終わり)